森林の保健機能の増進に関する特別措置法《本則》

法番号:平成元年法律第71号

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1条 (目的)

1項 この法律は、公衆の保健の用に供することが相当と認められる森林につき保健機能の増進を図るための特別の措置を講ずることにより、森林資源の総合的な利用を促進し、もって林業地域の振興と国民の福祉の向上に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「森林」及び「森林所有者」とは、それぞれ、 森林法 1951年法律第249号第2条第1項 《この法律において「森林」とは、左に掲げる…》 ものをいう。 但し、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。 1 木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹 2 前号の土地 及び第2項に規定する森林及び森林所有者をいう。

2項 この法律において「 森林の保健機能の増進 」とは、次に掲げる事項の一体的な推進により、森林の有する保健機能が向上することをいう。

1号 森林の有する保健機能を高度に発揮させるための森林の施業

2号 森林の有する保健機能を高度に発揮させるための公衆の利用に供する施設で政令で定めるもの(その設置によって森林の現に有する保健機能以外の諸機能に著しい支障を及ぼさないと認められるものに限る。以下「 森林保健施設 」という。)の整備

3条 (基本方針)

1項 農林水産大臣は、林政審議会の意見を聴いて、公衆の保健の用に供することが相当と認められる森林につき、 森林の保健機能の増進 に関する 基本方針 以下「 基本方針 」という。)を定めなければならない。

2項 基本方針 においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

1号 森林の保健機能の増進 を図るべき森林(以下「 保健機能森林 」という。)の設定に関する基本的な事項

2号 保健機能森林 の整備に関する基本的な事項

3号 その他必要な事項

3項 基本方針 は、自然環境の保全に適切な考慮が払われたものでなければならない。

4項 農林水産大臣は、 基本方針 を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

5項 農林水産大臣は、 基本方針 を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6項 農林水産大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、 基本方針 を変更するものとする。

7項 第4項及び第5項の規定は、前項の規定による 基本方針 の変更について準用する。

4条 (全国森林計画の変更等)

1項 農林水産大臣は、 基本方針 に基づき、 森林法 第4条第1項 《農林水産大臣は、政令で定めるところにより…》 、森林・林業基本法1964年法律第161号第11条第1項の基本計画に即し、かつ、保安施設の整備の状況等を勘案して、全国の森林につき、5年ごとに、15年を一期とする全国森林計画をたてなければならない。 の規定によりたてられた全国森林計画を変更し、 森林の保健機能の増進 に関する事項を追加して定めなければならない。同項の規定により全国森林計画をたてる場合においても、同様とする。

5条 (地域森林計画の変更等)

1項 都道府県知事は、 森林法 第5条第1項 《都道府県知事は、全国森林計画に即して、森…》 林計画区別に、その森林計画区に係る民有林その自然的経済的社会的諸条件及びその周辺の地域における土地の利用の動向からみて、森林として利用することが相当でないと認められる民有林を除く。につき、5年ごとに、 の規定によりたてられた地域森林計画の対象とする森林につき、前条の規定により追加して定められた全国森林計画に即して 森林の保健機能の増進 を図ることが適当と認める場合には、当該地域森林計画を変更し、 保健機能森林 の区域の基準その他保健機能森林の整備に関する事項を追加して定めることができる。同項の規定により地域森林計画をたてる場合においても、同様とする。

5条の2 (市町村森林整備計画の変更等)

1項 市町村は、その区域内にある地域森林計画の対象とする森林につき、前条の規定により追加して定められた地域森林計画に即して 森林の保健機能の増進 を図ることが適当と認める場合には、 森林法 第10条の5第1項 《市町村は、その区域内にある地域森林計画の…》 対象となつている民有林につき、5年ごとに、当該民有林の属する森林計画区に係る地域森林計画の計画期間の始期をその計画期間の始期とし、10年を一期とする市町村森林整備計画をたてなければならない。 ただし、 の規定によりたてられた市町村森林整備計画を変更し、次に掲げる事項を追加して定めることができる。同項の規定により市町村森林整備計画をたてる場合においても、同様とする。

1号 保健機能森林 の区域

2号 前号の区域内にある森林における造林、保育、伐採その他の施業の方法に関する事項

3号 第1号の区域内における 森林保健施設 の整備に関する事項

4号 その他必要な事項

6条 (森林経営計画の変更等)

1項 森林法 第11条第5項 《5 市町村の長は、第1項の規定による認定…》 の請求があつた場合において、当該森林経営計画の内容が次に掲げる要件の全てを満たすときは、当該森林経営計画が適当である旨の認定をするものとする。 1 第2項第1号に掲げる長期の方針が、森林経営計画の対象 の認定を受けた森林所有者は、当該認定に係る森林経営計画(公益的機能別施業森林区域(同法第5条第2項第6号に規定する公益的機能別施業森林区域をいう。)内に存する森林であって政令で定めるものに係る部分を除く。以下同じ。)の対象とする前条第1号の区域内に存する森林で農林水産省令で定める基準に適合するもの(以下「 対象森林 」という。)がある場合には、当該森林経営計画を変更し、 対象森林 に係る 森林の保健機能の増進 を図るための計画(以下「 森林保健機能増進計画 」という。)を当該森林経営計画の全部又は一部として定め、同法第12条第2項の認定を求めることができる。森林所有者が同法第11条第5項の規定による森林経営計画の認定を求める場合においても、同様とする。

2項 森林保健機能増進計画 には、 対象森林 に係る 森林法 第11条第2項 《2 森林経営計画には、次に掲げる事項を記…》 載しなければならない。 1 その対象とする森林についての森林の経営に関する長期の方針 2 その対象とする森林についての所在場所別の面積、人工植栽に係る森林とその他の森林との区別、樹種又は林相、林齢及び 各号に掲げる事項並びに対象森林の区域内において整備しようとする 森林保健施設 の位置、種類、規模、配置及び構造並びにその実施時期並びに当該施設の維持運営に関する事項を記載しなければならない。

3項 市町村の長は、第1項の規定による認定の請求があった場合において、当該請求に係る森林経営計画の内容が 森林法 第11条第5項 《5 市町村の長は、第1項の規定による認定…》 の請求があつた場合において、当該森林経営計画の内容が次に掲げる要件の全てを満たすときは、当該森林経営計画が適当である旨の認定をするものとする。 1 第2項第1号に掲げる長期の方針が、森林経営計画の対象 各号に掲げるもののほか、次に掲げる要件の全てを満たすときでなければ、その認定をしてはならない。

1号 森林保健機能増進計画 の内容が 対象森林 に係る 森林の保健機能の増進 を図るために有効かつ適切なものであること。

2号 対象森林 の面積のうち整備しようとする 森林保健施設 の面積の占める比率が農林水産省令で定める比率以下であること。

3号 森林の施業の方法並びに整備しようとする 森林保健施設 の位置、規模、配置及び構造が農林水産省令で定める技術的基準に適合すること。

4号 対象森林 の全部又は一部が 森林法 第25条第1項 《農林水産大臣は、次の各号指定しようとする…》 森林が民有林である場合にあつては、第1号から第3号までに掲げる目的を達成するため必要があるときは、森林民有林にあつては、重要流域二以上の都府県の区域にわたる流域その他の国土保全上又は国民経済上特に重要 若しくは第2項又は 第25条の2第1項 《都道府県知事は、前条第1項第1号から第3…》 号までに掲げる目的を達成するため必要があるときは、重要流域以外の流域内に存する民有林を保安林として指定することができる。 この場合には、同項ただし書及び同条第2項の規定を準用する。 若しくは第2項の規定により指定された 保安林 以下「 保安林 」という。)である場合には、当該保安林の区域内において行われる 森林保健施設 の整備が当該保安林の指定の目的(同法第25条第1項第10号に掲げるものを除く。)の達成に支障を及ぼさないと認められること。

4項 市町村の長は、 森林保健機能増進計画 をその全部又は一部とする森林経営計画について 森林法 第11条第5項 《5 市町村の長は、第1項の規定による認定…》 の請求があつた場合において、当該森林経営計画の内容が次に掲げる要件の全てを満たすときは、当該森林経営計画が適当である旨の認定をするものとする。 1 第2項第1号に掲げる長期の方針が、森林経営計画の対象 の規定による認定(同法第12条第3項において読み替えて準用する同法第11条第5項の規定による変更の認定を含む。以下「 特定認定 」という。)をしようとするときは、都道府県知事の同意を得なければならない。

5項 第1項の規定により 特定認定 を受けた者(以下「 特定認定森林所有者 」という。)についての 森林法 第13条 《森林経営計画の変更に関する通知 市町村…》 の長は、第11条第5項の認定に係る森林経営計画その変更につき前条第3項において読み替えて準用する第11条第5項の規定による認定があつたときは、その変更後のものの内容が同項各号に掲げる要件の全部又は一部 及び 第14条 《森林経営計画の遵守 認定森林所有者等は…》 、災害その他やむを得ない理由による場合を除き、当該森林経営計画の対象とする森林の施業及び保護について当該森林経営計画を遵守しなければならない。 の規定の適用については、同法第13条中「同項各号に掲げる要件」とあるのは「同項各号に掲げる要件及び 森林の保健機能の増進 に関する特別措置法࿸以下「特別措置法」という。)第6条第3項各号に掲げる要件」と、同法第14条中「森林の施業」とあるのは「森林の施業(特別措置法第6条第2項に規定する事項の実施を含む。)」とする。

7条 (開発行為の許可の特例)

1項 特定認定 森林所有者が特定認定に係る 森林保健機能増進計画 に従って 森林保健施設 を整備するために行う 森林法 第10条の2第1項 《地域森林計画の対象となつている民有林第2…》 5条又は第25条の2の規定により指定された保安林並びに第41条の規定により指定された保安施設地区の区域内及び海岸法1956年法律第101号第3条の規定により指定された海岸保全区域内の森林を除く。におい に規定する開発行為については、同項本文の規定は、適用しない。

8条 (保安林における制限の特例)

1項 特定認定 森林所有者が 保安林 の区域内において特定認定に係る 森林保健機能増進計画 に従って 森林保健施設 を整備するために行う立木の伐採については、 森林法 第34条第1項 《保安林においては、政令で定めるところによ…》 り、都道府県知事の許可を受けなければ、立木を伐採してはならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 法令又はこれに基づく処分により伐採の義務のある者がその履行として伐採 本文、 第34条の2第1項 《保安林においては、当該保安林に係る指定施…》 業要件に定める立木の伐採の方法に適合し、かつ、当該指定施業要件に定める伐採の限度を超えない範囲内において択伐による立木の伐採人工植栽に係る森林の立木の伐採に限る。第3項において同じ。をしようとする者は第34条の3第1項 《保安林においては、当該保安林に係る指定施…》 業要件に定める立木の伐採の方法に適合し、かつ、当該指定施業要件に定める伐採の限度を超えない範囲内において間伐のため立木を伐採しようとする者は、第34条第1項第1号、第4号から第7号まで及び第9号に掲げ 及び 第34条 《保安林における制限 保安林においては、…》 政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければ、立木を伐採してはならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 法令又はこれに基づく処分により伐採の義務のある の四本文の規定は、適用しない。

2項 特定認定 森林所有者が 保安林 の区域内において特定認定に係る 森林保健機能増進計画 に従って 森林保健施設 を整備するために行う 森林法 第34条第2項 《2 保安林においては、都道府県知事の許可…》 を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草、落葉若しくは落枝を採取し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない。 ただし、次の各号のいずれか 本文に規定する行為については、同項本文の規定は、適用しない。

9条 (森林組合の事業の利用の特例)

1項 森林組合は、 森林組合法 1978年法律第36号第9条第8項 《8 組合は、第4項の規定によるほか、定款…》 で定めるところにより、組合員以外の者にその事業を利用させることができる。 ただし、一事業年度において組合員並びに他の組合及びその組合員以下この項において「組合員等」という。以外の者が利用することができ ただし書の規定にかかわらず、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、定款で定めるところにより、 特定認定 森林所有者である組合員がその森林所有者である 対象森林 と一体として 森林の保健機能の増進 を図ることが必要であると認められる対象森林(当該森林組合の地区内にあるものに限る。)に係る特定認定森林所有者に、同条第2項第8号に掲げる事業を利用させることができる。

10条 (国有林野の活用)

1項 国は、 第4条 《全国森林計画の変更等 農林水産大臣は、…》 基本方針に基づき、森林法第1項の規定によりたてられた全国森林計画を変更し、森林の保健機能の増進に関する事項を追加して定めなければならない。 同項の規定により全国森林計画をたてる場合においても、同様とす の規定により追加して定められた全国森林計画に即して 森林の保健機能の増進 を図るため、国有林野の活用について適切な配慮をするものとする。

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