1章 総則
1条 (目的)
1項 この法律は、農業用ため池について、その適正な管理及び保全に必要な措置を講ずることにより、農業用水の確保を図るとともに、農業用ため池の決壊による水害その他の災害から国民の生命及び財産を保護し、もって農業の持続的な発展と国土の保全に資することを目的とする。
2条 (定義)
1項 この法律において「 農業用ため池 」とは、農業用水の供給の用に供される貯水施設( 河川法 (1964年法律第167号)
第3条第2項
《2 この法律において「河川管理施設」とは…》
、ダム、堰せき、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯堤防又はダム貯水池に沿つて設置された国土交通省令で定める帯状の樹林で堤防又はダム貯水池の治水上又は利水上の機能を維持し、又は増進する効用を有するものをい
に規定する河川管理施設であるものを除く。)であって、農林水産省令で定める要件に適合するものをいう。
2項 この法律において「 管理者 」とは、 農業用ため池 について所有権以外の権原に基づき操作、維持、修繕その他の管理を行う者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)をいう。
3項 この法律において「 防災工事 」とは、 農業用ため池 の決壊を防止するために施行する工事(農業用ため池を廃止するために施行する工事を含む。)をいう。
3条 (国及び地方公共団体の責務)
1項 都道府県及び市町村は、農業用水の確保を図るとともに、 農業用ため池 の決壊による水害その他の災害を防止するため、相互に連携を図りながら、この法律に基づく措置その他農業用ため池の適正な管理及び保全に関する施策を講ずるよう努めるものとする。
2項 国は、都道府県及び市町村に対し、前項の責務が10分に果たされるよう広域的な見地からの調整を行うとともに、 農業用ため池 の適正な管理及び保全に関する施策を推進するため必要な調査研究、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
2章 農業用ため池の管理
4条 (農業用ため池の届出)
1項 農業用ため池 (国又は地方公共団体が所有するものを除く。第3項及び第4項を除き、以下同じ。)の所有者は、当該農業用ため池を設置したときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
1号 農業用ため池 の名称及び所在地
2号 農業用ため池 の所有者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
3号 農業用ため池 に 管理者 がある場合には、当該管理者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者(法人でない団体にあっては、その代表者又は管理人)の氏名
4号 その他 農業用ため池 の管理に関し農林水産省令で定める事項
2項 農業用ため池 の所有者は、前項の規定により届け出た事項に変更があったときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。当該農業用ため池を廃止したときも、同様とする。
3項 都道府県知事は、 農業用ため池 に関する第1項各号に掲げる事項が記録されたデータベースを整備するとともに、当該データベースに記録された事項(同項第1号に掲げる事項その他農林水産省令で定めるものに限る。)をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
4項 都道府県知事は、その区域内に存する 農業用ため池 を所有する国の行政機関の長又は市町村長に対し、当該農業用ため池に関する第1項各号に掲げる事項その他必要な情報の提供を求めることができる。
5条 (農業用ため池の管理)
1項 農業用ため池 の所有者( 管理者 を含む。以下「 所有者等 」という。)は、当該農業用ため池の機能が10分に発揮されるよう、当該農業用ため池の適正な管理に努めなければならない。
6条 (勧告)
1項 都道府県知事は、 農業用ため池 の 所有者等 が当該農業用ため池の管理上必要な措置を講じていないと認めるときは、当該農業用ため池の所有者等に対し、 防災工事 の施行、 管理者 の選任その他の必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
3章 特定農業用ため池の指定等
7条 (特定農業用ため池の指定等)
1項 都道府県知事は、 農業用ため池 であってその決壊による水害その他の災害によりその周辺の区域に被害を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものを、特定農業用ため池として指定することができる。
2項 都道府県知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴くものとする。
3項 都道府県知事は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を公示するものとする。
4項 農業用ため池 の所在地を管轄する市町村長又は農業用ため池の 所有者等 、農業用ため池から農業用水の供給を受ける者その他の利害関係人は、当該農業用ため池が第1項に規定する要件に該当し、同項の規定による指定をする必要があると思料するときは、その旨を都道府県知事に申し出ることができる。
5項 第2項及び第3項の規定は、第1項の規定による指定の解除について準用する。
8条 (行為の制限)
1項 特定 農業用ため池 について、土地の掘削、盛土又は切土、竹木の植栽その他当該特定農業用ため池の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるものをしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
1号 土地改良法 (1949年法律第195号)
第2条第2項
《2 この法律において「土地改良事業」とは…》
、この法律により行う次に掲げる事業をいう。 1 農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設以下「土地改良施設」という。の新設、管理、廃止又は変更あわせて1の土地改良事業として施
に規定する土地改良事業(次条第1項において単に「土地改良事業」という。)の施行として行う場合
2号 次条第1項若しくは第3項の規定による届出又は
第10条第1項
《都道府県知事は、前条第1項の異議の申出が…》
ないとき、又は異議の申出があつた場合においてそのすべてについて同条第2項の規定による決定があつたときは、同条第4項の場合を除いて、土地改良区の設立の認可をしなければならない。
の規定による命令に係る 防災工事 の施行として行う場合
3号 非常災害のため必要な応急措置として行う場合
4号 当該特定 農業用ため池 の保全に支障を及ぼすおそれが少ない行為として農林水産省令で定めるものを行う場合
2項 都道府県知事は、前項の許可の申請があった場合において、当該申請に係る行為が当該特定 農業用ため池 の保全上支障があると認めるときは、同項の許可をしてはならない。
3項 国又は地方公共団体が第1項の許可を受けなければならない行為をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議することをもって足りる。
4項 前条第1項の規定による指定の際現に特定 農業用ため池 について第1項の許可を受けなければならない行為をしている者は、当該行為について同項の許可を受けたものとみなす。
9条 (防災工事の施行)
1項 特定 農業用ため池 の 所有者等 は、当該特定農業用ため池について 防災工事 (土地改良事業の施行として行うものその他農林水産省令で定めるものを除く。第3項及び次条第2項において同じ。)を施行しようとするときは、当該防災工事に着手する日の30日前までに、農林水産省令で定めるところにより、当該防災工事に関する計画について都道府県知事に届け出なければならない。
2項 都道府県知事は、前項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る計画が当該特定 農業用ため池 の決壊による水害その他の災害を防止する上で10分でないと認めるときは、当該届出を受理した日から30日以内に限り、当該届出を行った者に対し、当該計画の変更を命ずることができる。
3項 第7条第1項
《都道府県知事は、農業用ため池であってその…》
決壊による水害その他の災害によりその周辺の区域に被害を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものを、特定農業用ため池として指定することができる。
の規定による指定の際現に特定 農業用ため池 について 防災工事 を施行している当該特定農業用ため池の 所有者等 は、当該指定のあった日から30日以内に、農林水産省令で定めるところにより、当該防災工事に関する計画について都道府県知事に届け出なければならない。
10条 (防災工事の施行に関する命令)
1項 都道府県知事は、
第6条
《勧告 都道府県知事は、農業用ため池の所…》
有者等が当該農業用ため池の管理上必要な措置を講じていないと認めるときは、当該農業用ため池の所有者等に対し、防災工事の施行、管理者の選任その他の必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
の勧告を受けた特定 農業用ため池 の 所有者等 が正当な理由がなくて当該勧告に係る 防災工事 の施行をしないときは、当該特定農業用ため池の所有者等に対し、相当の期限を定めて、当該防災工事の施行を命ずることができる。
2項 都道府県知事は、前条第1項の規定による届出のあった計画に従って 防災工事 を施行していないと認めるときは、当該届出を行った者に対し、相当の期限を定めて、当該計画に従って防災工事を施行すべきことを命ずることができる。
11条 (代執行)
1項 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、自らその 防災工事 の全部又は一部を施行することができる。この場合において、第2号に該当すると認めるときは、相当の期限を定めて、当該防災工事を施行すべき旨及びその期限までに当該防災工事を施行しないときは、自ら当該防災工事を施行し、当該防災工事の施行に要した費用を徴収することがある旨を、あらかじめ、公告するものとする。
1号 前条の規定により 防災工事 を施行すべきことを命ぜられた特定 農業用ため池 の 所有者等 が、当該命令に係る期限までに当該命令に係る防災工事を施行しないとき、施行しても10分でないとき、又は施行する見込みがないとき。
2号 相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお特定 農業用ため池 の 所有者等 を確知することができないため
第6条
《勧告 都道府県知事は、農業用ため池の所…》
有者等が当該農業用ため池の管理上必要な措置を講じていないと認めるときは、当該農業用ため池の所有者等に対し、防災工事の施行、管理者の選任その他の必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
の勧告をすることができないとき。
3号 緊急に 防災工事 を施行する必要がある場合において、
第6条
《勧告 都道府県知事は、農業用ため池の所…》
有者等が当該農業用ため池の管理上必要な措置を講じていないと認めるときは、当該農業用ため池の所有者等に対し、防災工事の施行、管理者の選任その他の必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
の勧告又は前条の規定による命令をするいとまがないとき。
2項 都道府県知事は、前項の規定により 防災工事 の全部又は一部を施行したときは、当該防災工事の施行に要した費用について、農林水産省令で定めるところにより、当該特定 農業用ため池 の 所有者等 から徴収することができる。
3項 前項の規定による費用の徴収については、 行政代執行法 (1948年法律第43号)
第5条
《 代執行に要した費用の徴収については、実…》
際に要した費用の額及びその納期日を定め、義務者に対し、文書をもつてその納付を命じなければならない。
及び
第6条
《 代執行に要した費用は、国税滞納処分の例…》
により、これを徴収することができる。 代執行に要した費用については、行政庁は、国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権を有する。 代執行に要した費用を徴収したときは、その徴収金は、事務費の所属に従い、国庫又
の規定を準用する。
12条 (住民に対する周知のための措置)
1項 市町村長は、その区域内に存する特定 農業用ため池 の決壊に関する情報の伝達方法、避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項その他水害その他の災害時における円滑な避難を確保する上で必要な事項について、これらを記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講ずることにより、住民に周知させるよう努めるものとする。
4章 裁定による特定農業用ため池の管理
13条 (裁定の申請)
1項 市町村長は、その区域内に存する特定 農業用ため池 について、現に管理上必要な措置が講じられておらず、かつ、引き続き管理上必要な措置が講じられないことが確実であると見込まれる場合であって、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお当該特定農業用ため池の所有者(数人の共有に属する特定農業用ため池にあっては、当該特定農業用ため池について2分の1を超える持分を有する者。次条第1項第3号において同じ。)を確知することができないときは、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該特定農業用ため池の施設管理権(当該特定農業用ため池の所有者のために当該特定農業用ため池の操作、維持、修繕その他の管理を行う権利をいう。以下同じ。)の設定に関し裁定を申請することができる。
2項 特定 農業用ため池 の所有者、特定農業用ため池から農業用水の供給を受ける者その他の利害関係人は、当該特定農業用ため池について、前項の規定による申請をすべき旨をその所在地を管轄する市町村長に申し出ることができる。
14条 (公告等)
1項 都道府県知事は、前条第1項の規定による申請があったときは、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告するとともに、当該申請に係る特定 農業用ため池 が数人の共有に属する場合であって、その所有者の一部が確知されているときは、当該確知されている所有者にこれを通知するものとする。
1号 当該申請があった旨
2号 当該特定 農業用ため池 の名称及び所在地
3号 当該特定 農業用ため池 について、所有者を確知することができない旨
4号 当該特定 農業用ため池 の所有者は、公告の日から起算して6月以内に、農林水産省令で定めるところにより、その権原を証する書面を添えて、都道府県知事に申し出て、当該申請について異議を述べることができる旨
5号 その他農林水産省令で定める事項
2項 都道府県知事は、前項第4号に規定する期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。
15条 (裁定)
1項 都道府県知事は、
第13条第1項
《市町村長は、その区域内に存する特定農業用…》
ため池について、現に管理上必要な措置が講じられておらず、かつ、引き続き管理上必要な措置が講じられないことが確実であると見込まれる場合であって、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法
の規定による申請に係る特定 農業用ため池 について、前条第1項第4号の規定による申出の内容、当該特定農業用ため池の自然的社会的諸条件その他の事情を考慮して、引き続き管理上必要な措置が講じられないことによりその保全上著しい支障が生ずるおそれがあり、かつ、当該特定農業用ため池の施設管理権を当該申請をした市町村長に設定することが必要かつ適当と認めるときは、施設管理権を設定すべき旨の裁定をするものとする。
2項 前項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
1号 特定 農業用ため池 の名称及び所在地
2号 市町村長が設定を受ける施設管理権の始期
3号 市町村長が設定を受ける施設管理権の存続期間
4号 市町村長が設定を受ける施設管理権に基づいて行う措置の内容
5号 その他農林水産省令で定める事項
3項 第1項の裁定は、前項第1号から第4号までに掲げる事項については申請の範囲を超えないものとし、同項第3号に規定する存続期間については20年を限度として定めるものとする。
16条 (裁定の効果等)
1項 都道府県知事は、前条第1項の裁定をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該裁定の申請をした市町村長に通知するとともに、これを公告するものとする。当該裁定についての審査請求に対する裁決によって当該裁定の内容が変更されたときも、同様とする。
2項 前条第1項の裁定について前項の規定による公告があったときは、当該裁定の定めるところにより、市町村長は、当該特定 農業用ため池 についての施設管理権を取得し、当該特定農業用ため池に関するその他の権利は、市町村長による当該施設管理権に基づく措置のため必要な限度においてその行使を制限される。
3項 市町村長は、農林水産省令で定めるところにより、前条第1項の裁定に係る特定 農業用ため池 の管理に要する費用を当該特定農業用ため池の所有者から徴収することができる。
4項 市町村長は、前条第1項の裁定に係る特定 農業用ため池 の管理に関し特に必要があると認めるときは、当該特定農業用ため池の施設管理権に基づく措置の一部を土地改良区その他の者に行わせることができる。
17条 (施設管理権の存続期間の延長)
1項 前条第2項の規定により施設管理権の設定を受けた市町村長は、
第15条第1項
《都道府県知事は、第13条第1項の規定によ…》
る申請に係る特定農業用ため池について、前条第1項第4号の規定による申出の内容、当該特定農業用ため池の自然的社会的諸条件その他の事情を考慮して、引き続き管理上必要な措置が講じられないことによりその保全上
の裁定において定められた施設管理権の存続期間を延長して当該裁定に係る特定 農業用ため池 の管理を行おうとするときは、当該存続期間の満了の日の9月前から6月前までの間に、都道府県知事に対し、当該特定農業用ため池の施設管理権の存続期間の延長についての裁定を申請することができる。
2項 第13条第2項
《2 特定農業用ため池の所有者、特定農業用…》
ため池から農業用水の供給を受ける者その他の利害関係人は、当該特定農業用ため池について、前項の規定による申請をすべき旨をその所在地を管轄する市町村長に申し出ることができる。
及び
第14条
《公告等 都道府県知事は、前条第1項の規…》
定による申請があったときは、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告するとともに、当該申請に係る特定農業用ため池が数人の共有に属する場合であって、その所有者の一部が確知されているときは、
の規定は、前項の規定による申請について準用する。この場合において、同条第1項第4号中「6月」とあるのは、「3月」と読み替えるものとする。
3項 都道府県知事は、第1項の規定による申請をした市町村長の有する特定 農業用ため池 の施設管理権の存続期間を延長することが当該特定農業用ため池の管理のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該特定農業用ため池の施設管理権の存続期間の延長についての裁定をするものとする。
4項 第15条第2項
《2 前項の裁定においては、次に掲げる事項…》
を定めなければならない。 1 特定農業用ため池の名称及び所在地 2 市町村長が設定を受ける施設管理権の始期 3 市町村長が設定を受ける施設管理権の存続期間 4 市町村長が設定を受ける施設管理権に基づい
及び第3項並びに前条の規定は、前項の裁定について準用する。この場合において、
第15条第2項
《2 前項の裁定においては、次に掲げる事項…》
を定めなければならない。 1 特定農業用ため池の名称及び所在地 2 市町村長が設定を受ける施設管理権の始期 3 市町村長が設定を受ける施設管理権の存続期間 4 市町村長が設定を受ける施設管理権に基づい
中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第2号に掲げる事項を除く。)」と、同項第3号中「存続期間」とあるのは「存続期間を延長する期間及び当該延長後の存続期間」と、同条第3項中「前項第1号から第4号まで」とあるのは「前項第1号、第3号及び第4号」と、「存続期間」とあるのは「存続期間を延長する期間」と読み替えるものとする。
5章 雑則
18条 (報告徴収及び立入調査)
1項 都道府県知事は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、 農業用ため池 の 所有者等 に対しその管理の状況に関する報告を求め、又は当該職員若しくはその委任した者に当該農業用ため池に立ち入らせ、測量若しくは調査を行わせることができる。
2項 都道府県知事は、前項に定めるもののほか、
第7条第1項
《都道府県知事は、農業用ため池であってその…》
決壊による水害その他の災害によりその周辺の区域に被害を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものを、特定農業用ため池として指定することができる。
の規定による指定その他の処分をするため他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、当該職員又はその委任した者に立ち入らせることができる。
3項 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、あらかじめ、当該土地の占有者にその旨を通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
4項 第1項又は第2項の規定により立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。
5項 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第2項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
6項 第1項又は第2項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
7項 都道府県は、第2項の規定による立入りによって損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
8項 都道府県知事は、第1項又は第2項の規定による立入りについて必要があると認めるときは、市町村長に対し、必要な協力を求めることができる。
19条 (農林水産大臣の指示)
1項 農林水産大臣は、 農業用ため池 の決壊による水害その他の災害を防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、
第6条
《勧告 都道府県知事は、農業用ため池の所…》
有者等が当該農業用ため池の管理上必要な措置を講じていないと認めるときは、当該農業用ため池の所有者等に対し、防災工事の施行、管理者の選任その他の必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
、
第7条第1項
《都道府県知事は、農業用ため池であってその…》
決壊による水害その他の災害によりその周辺の区域に被害を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものを、特定農業用ため池として指定することができる。
、
第8条第1項
《特定農業用ため池について、土地の掘削、盛…》
土又は切土、竹木の植栽その他当該特定農業用ため池の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるものをしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいず
、
第9条第2項
《2 都道府県知事は、前項の規定による届出…》
があった場合において、当該届出に係る計画が当該特定農業用ため池の決壊による水害その他の災害を防止する上で10分でないと認めるときは、当該届出を受理した日から30日以内に限り、当該届出を行った者に対し、
、
第10条
《防災工事の施行に関する命令 都道府県知…》
事は、第6条の勧告を受けた特定農業用ため池の所有者等が正当な理由がなくて当該勧告に係る防災工事の施行をしないときは、当該特定農業用ため池の所有者等に対し、相当の期限を定めて、当該防災工事の施行を命ずる
、
第11条第1項
《都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当…》
すると認めるときは、自らその防災工事の全部又は一部を施行することができる。 この場合において、第2号に該当すると認めるときは、相当の期限を定めて、当該防災工事を施行すべき旨及びその期限までに当該防災工
並びに前条第1項及び第2項に規定する事務に関し必要な指示をすることができる。
20条 (補助)
1項 都道府県は、市町村又は 農業用ため池 の 所有者等 に対し、予算の範囲内において、その施行する 防災工事 に要する費用の一部を補助することができる。
2項 国は、都道府県に対し、予算の範囲内において、都道府県が前項の規定により補助する費用の一部又は都道府県が自ら施行する 防災工事 に要する費用の一部を補助することができる。
21条 (援助)
1項 国及び地方公共団体は、 農業用ため池 の 所有者等 が行う農業用ため池の適正な管理に必要な資金の確保、技術的な指導その他の援助に努めるものとする。
2項 国及び地方公共団体は、前項の援助に関し必要があると認めるときは、土地改良区、土地改良区連合又は土地改良事業団体連合会に対し、必要な協力を求めることができる。
22条 (農林水産省令への委任)
1項 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
6章 罰則
23条
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、510,000円以下の罰金に処する。
1号 第8条第1項
《特定農業用ため池について、土地の掘削、盛…》
土又は切土、竹木の植栽その他当該特定農業用ため池の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるものをしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいず
の規定に違反して、同項の許可を受けなければならない行為をした者
2号 第9条第1項
《特定農業用ため池の所有者等は、当該特定農…》
業用ため池について防災工事土地改良事業の施行として行うものその他農林水産省令で定めるものを除く。第3項及び次条第2項において同じ。を施行しようとするときは、当該防災工事に着手する日の30日前までに、農
の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして、 防災工事 を施行した者
3号 第9条第2項
《2 都道府県知事は、前項の規定による届出…》
があった場合において、当該届出に係る計画が当該特定農業用ため池の決壊による水害その他の災害を防止する上で10分でないと認めるときは、当該届出を受理した日から30日以内に限り、当該届出を行った者に対し、
の規定による命令に違反して、 防災工事 を施行した者
4号 第9条第3項
《3 第7条第1項の規定による指定の際現に…》
特定農業用ため池について防災工事を施行している当該特定農業用ため池の所有者等は、当該指定のあった日から30日以内に、農林水産省令で定めるところにより、当該防災工事に関する計画について都道府県知事に届け
の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
5号 第10条第1項
《都道府県知事は、第6条の勧告を受けた特定…》
農業用ため池の所有者等が正当な理由がなくて当該勧告に係る防災工事の施行をしないときは、当該特定農業用ため池の所有者等に対し、相当の期限を定めて、当該防災工事の施行を命ずることができる。
又は第2項の規定による命令に違反した者
6号 第18条第1項
《都道府県知事は、この法律の施行のため必要…》
があると認めるときは、その必要の限度において、農業用ため池の所有者等に対しその管理の状況に関する報告を求め、又は当該職員若しくはその委任した者に当該農業用ため池に立ち入らせ、測量若しくは調査を行わせる
の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による測量若しくは調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
7号 第18条第5項
《5 土地の占有者は、正当な理由がない限り…》
、第2項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
の規定に違反して、土地の立入りを拒み、又は妨げた者
24条
1項 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。
2項 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
25条
1項 第4条第1項
《農業用ため池国又は地方公共団体が所有する…》
ものを除く。第3項及び第4項を除き、以下同じ。の所有者は、当該農業用ため池を設置したときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。 1 農業
若しくは第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、110,000円以下の過料に処する。