国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律《本則》

法番号:1991年法律第94号

略称: 麻薬特例法

附則 >  

1章 総則

1条 (趣旨)

1項 この法律は、薬物犯罪による薬物犯罪収益等を剝奪すること等により、規制薬物に係る不正行為が行われる主要な要因を国際的な協力の下に除去することの重要性に鑑み、並びに規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図り、及びこれに関する国際約束の適確な実施を確保するため、 麻薬及び向精神薬取締法 1953年法律第14号)、 大麻草の栽培の規制に関する法律 1948年法律第124号)、あへん法(1954年法律第71号及び 覚醒剤取締法 1951年法律第252号)に定めるもののほか、これらの法律その他の関係法律の特例その他必要な事項を定めるものとする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 規制薬物 」とは、 麻薬及び向精神薬取締法 に規定する麻薬及び向精神薬、あへん法に規定するあへん及びけしがら並びに 覚醒剤取締法 に規定する覚醒剤をいう。

2項 この法律において「 薬物犯罪 」とは、次に掲げる罪をいう。

1号 第5条 《業として行う不法輸入等 次に掲げる行為…》 を業とした者これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。は、無期又は5年以上の拘禁刑及び10,010,000円以下の罰金に処する。 1 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第6第8条 《規制薬物としての物品の輸入等 薬物犯罪…》 規制薬物の輸入又は輸出に係るものに限る。を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、3年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。 又は 第9条 《あおり又は唆し 薬物犯罪前条及びこの条…》 の罪を除く。、第6条の罪若しくは第7条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。 の罪

2号 麻薬及び向精神薬取締法 第64条 《 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦…》 若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し、又は第64条 《 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦…》 若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し、又は の二、 第65条 《 次の各号のいずれかに該当する者は、1年…》 以上10年以下の拘禁刑に処する。 1 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者第69条第1号から第3号までに規定する違反行為をし第66条 《 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだ…》 りに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に規定する違反行為をした者を除く。は、7年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯し第66条 《 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだ…》 りに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に規定する違反行為をした者を除く。は、7年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯し の三、 第66条 《 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだ…》 りに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に規定する違反行為をした者を除く。は、7年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯し の四、 第68条 《 情を知つて、第64条第1項若しくは第2…》 又は第65条第1項若しくは第2項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料麻薬原料植物の種子を含む。第69条の4において「資金等」という。を提供し、又は の二又は 第69条の5 《 第66条の4第1項又は第2項の罪に当た…》 る向精神薬の譲渡しと譲受けとの周旋をした者は、1年以下の拘禁刑に処する。 の罪

3号 大麻草の栽培の規制に関する法律 第24条 《 大麻草をみだりに栽培した者は、1年以上…》 10年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、1年以上の有期拘禁刑に処し、又は情状により1年以上の有期拘禁刑及び5,010,000円以下の罰金に処する。 3 の罪

4号 あへん法第51条、第52条又は第54条の3の罪

5号 覚醒剤取締法 第41条 《刑罰 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは…》 外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者の5第1項第2号に該当する者を除く。は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し第41条 《刑罰 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは…》 外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者の5第1項第2号に該当する者を除く。は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し の二又は 第41条の11 《 第41条の2の罪に当たる覚醒剤の譲渡し…》 と譲受けとの周旋をした者は、3年以下の拘禁刑に処する。 の罪

6号 麻薬及び向精神薬取締法 第67条 《 第64条第1項若しくは第2項又は第65…》 条第1項若しくは第2項の罪を犯す目的でその予備をした者は、5年以下の拘禁刑に処する。 若しくは 第69条 《 次の各号のいずれかに該当する場合には、…》 当該違反行為をした者は、3年以下の拘禁刑若しくは510,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 1 第14条第1項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬を輸入したとき。 2 第18条第1項の規 の二、 大麻草の栽培の規制に関する法律 第24条 《 大麻草をみだりに栽培した者は、1年以上…》 10年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、1年以上の有期拘禁刑に処し、又は情状により1年以上の有期拘禁刑及び5,010,000円以下の罰金に処する。 3 の三、あへん法第53条又は 覚醒剤取締法 第41条の6 《 第41条第1項又は第2項の罪を犯す目的…》 でその予備をした者は、5年以下の拘禁刑に処する。 の罪

7号 麻薬及び向精神薬取締法 第68条 《 情を知つて、第64条第1項若しくは第2…》 又は第65条第1項若しくは第2項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料麻薬原料植物の種子を含む。第69条の4において「資金等」という。を提供し、又は 若しくは 第69条 《 次の各号のいずれかに該当する場合には、…》 当該違反行為をした者は、3年以下の拘禁刑若しくは510,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 1 第14条第1項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬を輸入したとき。 2 第18条第1項の規 の四、 大麻草の栽培の規制に関する法律 第24条 《 大麻草をみだりに栽培した者は、1年以上…》 10年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、1年以上の有期拘禁刑に処し、又は情状により1年以上の有期拘禁刑及び5,010,000円以下の罰金に処する。 3 の四、あへん法第54条の二又は 覚醒剤取締法 第41条の9 《 情を知つて、第41条第1項又は第2項の…》 罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料覚醒剤原料を除く。を提供し、又は運搬した者は、5年以下の拘禁刑に処する。 の罪

3項 この法律において「 薬物犯罪収益 」とは、 薬物犯罪 の犯罪行為により得た財産若しくは当該犯罪行為の報酬として得た財産又は前項第7号に掲げる罪に係る資金をいう。

4項 この法律において「 薬物犯罪収益に由来する財産 」とは、 薬物犯罪 収益の果実として得た財産、薬物犯罪収益の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他薬物犯罪収益の保有又は処分に基づき得た財産をいう。

5項 この法律において「 薬物犯罪収益等 」とは、 薬物犯罪 収益、薬物犯罪収益に由来する財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産をいう。

2章 上陸の手続の特例等

3条 (上陸の手続の特例)

1項 入国審査官は、出入国管理及び難民認定法(1951年政令第319号。以下「 入管法 」という。)第5条第1項第6号に掲げる者である疑いのある外国人から 入管法 第6条第2項の申請があった場合において、法務大臣から、 薬物犯罪 の捜査に関し、当該外国人を上陸させることが必要であるとの検察官からの通報又は司法警察職員(麻薬取締官、麻薬取締員、警察官又は海上保安官に限る。次項及び次条第1項において同じ。)からの要請があった旨並びに 規制薬物 の散逸及び当該外国人の逃走を防止するための10分な監視体制が確保されていると認められる旨の連絡を受けているときは、入管法第9条第1項の規定にかかわらず、入管法第5条第1項第6号以外の事項について入管法第7条第1項の審査をした上、当該外国人の旅券に入管法第9条第1項の上陸許可の証印をすることができる。

2項 入国審査官は、 入管法 第5条第1項第6号に掲げる者である疑いのある外国人につき入管法第14条第1項、第14条の2第1項若しくは第2項、 第15条第1項 《法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、…》 使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第5条から第9条までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。 若しくは第2項又は 第16条第1項 《第11条第1項各号又は第3項各号に掲げる…》 財産である債権等不動産及び動産以外の財産をいう。第18条において同じ。が被告人以外の者以下この条において「第三者」という。に帰属する場合において、当該第三者が被告事件の手続への参加を許されていないとき の申請があった場合において、法務大臣から、 薬物犯罪 の捜査に関し、当該外国人を上陸させることが必要であるとの検察官からの通報又は司法警察職員からの要請があった旨並びに 規制薬物 の散逸及び当該外国人の逃走を防止するための10分な監視体制が確保されていると認められる旨の連絡を受けているときは、入管法第5条第1項第6号以外の事項について審査をした上、当該外国人の上陸を許可することができる。

3項 入国審査官は、法務大臣から、第1項の規定による上陸許可の証印又は前項の規定による上陸の許可を受けている外国人について、引き続き本邦に在留させておくことが適当でないと認める旨の連絡を受けたときは、速やかに、当該外国人の本邦への上陸の時において当該外国人が 入管法 第5条第1項第6号に該当したか否かを審査しなければならない。

4項 入国審査官は、前項の規定による審査により、同項に規定する外国人が 入管法 第5条第1項第6号に該当したと認めるときは、当該外国人についての第1項の規定による上陸許可の証印又は第2項の規定による上陸の許可を取り消すものとする。

4条 (税関手続の特例)

1項 税関長は、 関税法 1954年法律第61号第67条 《輸出又は輸入の許可 貨物を輸出し、又は…》 輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、当該貨物の品名並びに数量及び価格輸入貨物特例申告貨物を除く。については、課税標準となるべき数量及び価格その他必要な事項を税関長に申告し、貨物につき必要な同法第75条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による貨物の検査により、当該検査に係る貨物に 規制薬物 が隠匿されていることが判明した場合において、 薬物犯罪 の捜査に関し、当該規制薬物が外国に向けて送り出され、又は本邦に引き取られることが必要である旨の検察官又は司法警察職員からの要請があり、かつ、当該規制薬物の散逸を防止するための10分な監視体制が確保されていると認めるときは、当該要請に応ずるために次に掲げる措置をとることができる。ただし、当該措置をとることが 関税法 規の目的に照らし相当でないと認められるときは、この限りでない。

1号 当該貨物(当該貨物に隠匿されている 規制薬物 を除く。)について 関税法 第67条 《輸出又は輸入の許可 貨物を輸出し、又は…》 輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、当該貨物の品名並びに数量及び価格輸入貨物特例申告貨物を除く。については、課税標準となるべき数量及び価格その他必要な事項を税関長に申告し、貨物につき必要な の規定により申告されたところに従って同条の許可を行うこと。

2号 その他当該要請に応ずるために必要な措置

2項 前項(第1号を除く。)の規定は、 関税法 第76条第1項 《郵便物その価格輸入されるものについては、…》 課税標準となるべき価格が210,000円を超えるもの寄贈物品であるものその他の政令で定めるものを除く。及び第3項の政令で定める場合に係るものを除く。以下この項、第94条及び第114条の2第14号におい ただし書の規定による郵便物中にある信書以外の物の検査により、当該信書以外の物に 規制薬物 が隠匿されていることが判明した場合について準用する。この場合において、当該規制薬物については、同法第74条の規定は、適用しない。

3章 罰則

5条 (業として行う不法輸入等)

1項 次に掲げる行為を業とした者(これらの行為と 第8条 《規制薬物としての物品の輸入等 薬物犯罪…》 規制薬物の輸入又は輸出に係るものに限る。を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、3年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。 の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。)は、無期又は5年以上の拘禁刑及び10,010,000円以下の罰金に処する。

1号 麻薬及び向精神薬取締法 第64条 《 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦…》 若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し、又は第64条 《 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦…》 若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し、又は の二(所持に係る部分を除く。)、 第65条 《 次の各号のいずれかに該当する者は、1年…》 以上10年以下の拘禁刑に処する。 1 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者第69条第1号から第3号までに規定する違反行為をし第66条 《 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだ…》 りに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に規定する違反行為をした者を除く。は、7年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯し所持に係る部分を除く。)、 第66条 《 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだ…》 りに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に規定する違反行為をした者を除く。は、7年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯し の三又は 第66条 《 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだ…》 りに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に規定する違反行為をした者を除く。は、7年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯し の四(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。

2号 大麻草の栽培の規制に関する法律 第24条 《 大麻草をみだりに栽培した者は、1年以上…》 10年以下の拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、1年以上の有期拘禁刑に処し、又は情状により1年以上の有期拘禁刑及び5,010,000円以下の罰金に処する。 3 の罪に当たる行為をすること。

3号 あへん法第51条又は第52条(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。

4号 覚醒剤取締法 第41条 《刑罰 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは…》 外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者の5第1項第2号に該当する者を除く。は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し 又は 第41条 《刑罰 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは…》 外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者の5第1項第2号に該当する者を除く。は、1年以上の有期拘禁刑に処する。 2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処し の二(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。

6条 (薬物犯罪収益等隠匿)

1項 薬物犯罪 収益等の取得若しくは処分につき事実を仮装し、又は薬物犯罪収益等を隠匿した者は、10年以下の拘禁刑若しくは5,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。薬物犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者も、同様とする。

2項 前項の未遂罪は、罰する。

3項 第1項の罪を犯す目的をもって、その予備をした者は、2年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

7条 (薬物犯罪収益等収受)

1項 情を知って、 薬物犯罪 収益等を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約(債権者において相当の財産上の利益を提供すべきものに限る。)の時に当該契約に係る債務の履行が薬物犯罪収益等によって行われることの情を知らないでした当該契約に係る債務の履行として提供されたものを収受した者は、この限りでない。

8条 (規制薬物としての物品の輸入等)

1項 薬物犯罪 規制薬物 の輸入又は輸出に係るものに限る。)を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、3年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

2項 薬物犯罪 規制薬物 の譲渡し、譲受け又は所持に係るものに限る。)を犯す意思をもって、薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し、若しくは譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は、2年以下の拘禁刑又は310,000円以下の罰金に処する。

9条 (あおり又は唆し)

1項 薬物犯罪 前条及びこの条の罪を除く。)、 第6条 《薬物犯罪収益等隠匿 薬物犯罪収益等の取…》 得若しくは処分につき事実を仮装し、又は薬物犯罪収益等を隠匿した者は、10年以下の拘禁刑若しくは5,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 薬物犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者 の罪若しくは 第7条 《薬物犯罪収益等収受 情を知って、薬物犯…》 罪収益等を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約債権者において相当の財産上 の罪を実行すること又は 規制薬物 を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

10条 (国外犯)

1項 第5条 《業として行う不法輸入等 次に掲げる行為…》 を業とした者これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。は、無期又は5年以上の拘禁刑及び10,010,000円以下の罰金に処する。 1 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第6 から 第7条 《薬物犯罪収益等収受 情を知って、薬物犯…》 罪収益等を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約債権者において相当の財産上 まで及び前条の罪は、 刑法 1907年法律第45号第2条 《すべての者の国外犯 この法律は、日本国…》 外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。 1 削除 2 第77条から第79条まで内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助の罪 3 第81条外患誘致、第82条外患援助、第87条未遂罪及び第88条予備及 の例に従う。

11条 (薬物犯罪収益等の没収)

1項 次に掲げる財産は、これを没収する。ただし、 第6条第1項 《薬物犯罪収益等の取得若しくは処分につき事…》 実を仮装し、又は薬物犯罪収益等を隠匿した者は、10年以下の拘禁刑若しくは5,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 薬物犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者も、同様とする。 若しくは第2項又は 第7条 《薬物犯罪収益等収受 情を知って、薬物犯…》 罪収益等を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約債権者において相当の財産上 の罪が 薬物犯罪 収益又は薬物犯罪収益に由来する財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において、これらの罪につき第3号から第5号までに掲げる財産の全部を没収することが相当でないと認められるときは、その一部を没収することができる。

1号 薬物犯罪 収益( 第2条第2項第6号 《2 この法律において「薬物犯罪」とは、次…》 に掲げる罪をいう。 1 第5条、第8条又は第9条の罪 2 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第64条の二、第65条、第66条、第66条の三、第66条の四、第68条の二又は第69条の5の罪 3 大麻草の栽 又は第7号に掲げる罪に係るものを除く。

2号 薬物犯罪 収益に由来する財産( 第2条第2項第6号 《2 この法律において「薬物犯罪」とは、次…》 に掲げる罪をいう。 1 第5条、第8条又は第9条の罪 2 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第64条の二、第65条、第66条、第66条の三、第66条の四、第68条の二又は第69条の5の罪 3 大麻草の栽 又は第7号に掲げる罪に係る薬物犯罪収益の保有又は処分に基づき得たものを除く。

3号 第6条第1項 《薬物犯罪収益等の取得若しくは処分につき事…》 実を仮装し、又は薬物犯罪収益等を隠匿した者は、10年以下の拘禁刑若しくは5,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 薬物犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者も、同様とする。 若しくは第2項又は 第7条 《薬物犯罪収益等収受 情を知って、薬物犯…》 罪収益等を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約債権者において相当の財産上 の罪に係る 薬物犯罪 収益等

4号 第6条第1項 《薬物犯罪収益等の取得若しくは処分につき事…》 実を仮装し、又は薬物犯罪収益等を隠匿した者は、10年以下の拘禁刑若しくは5,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 薬物犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者も、同様とする。 若しくは第2項又は 第7条 《薬物犯罪収益等収受 情を知って、薬物犯…》 罪収益等を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約債権者において相当の財産上 の犯罪行為より生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産

5号 前2号の財産の果実として得た財産、前2号の財産の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他前2号の財産の保有又は処分に基づき得た財産

2項 前項の規定により没収すべき財産について、当該財産の性質、その使用の状況、当該財産に関する犯人以外の者の権利の有無その他の事情からこれを没収することが相当でないと認められるときは、同項の規定にかかわらず、これを没収しないことができる。

3項 次に掲げる財産は、これを没収することができる。

1号 薬物犯罪 収益( 第2条第2項第6号 《2 この法律において「薬物犯罪」とは、次…》 に掲げる罪をいう。 1 第5条、第8条又は第9条の罪 2 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第64条の二、第65条、第66条、第66条の三、第66条の四、第68条の二又は第69条の5の罪 3 大麻草の栽 又は第7号に掲げる罪に係るものに限る。

2号 薬物犯罪 収益に由来する財産( 第2条第2項第6号 《2 この法律において「薬物犯罪」とは、次…》 に掲げる罪をいう。 1 第5条、第8条又は第9条の罪 2 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第64条の二、第65条、第66条、第66条の三、第66条の四、第68条の二又は第69条の5の罪 3 大麻草の栽 又は第7号に掲げる罪に係る薬物犯罪収益の保有又は処分に基づき得たものに限る。

3号 第6条第3項 《3 第1項の罪を犯す目的をもって、その予…》 備をした者は、2年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。 の罪に係る 薬物犯罪 収益等

4号 第6条第3項 《3 第1項の罪を犯す目的をもって、その予…》 備をした者は、2年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。 の犯罪行為より生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産

5号 前2号の財産の果実として得た財産、前2号の財産の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他前2号の財産の保有又は処分に基づき得た財産

12条 (薬物犯罪収益等が混和した財産の没収等)

1項 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 1999年法律第136号。以下「 組織的犯罪処罰法 」という。第14条 《犯罪収益等が混和した財産の没収等 前条…》 第1項各号又は第4項各号に掲げる財産以下「不法財産」という。が不法財産以外の財産と混和した場合において、当該不法財産を没収すべきときは、当該混和により生じた財産次条第1項において「混和財産」という。の 及び 第15条 《没収の要件等 第13条の規定による没収…》 は、不法財産又は混和財産が犯人以外の者に帰属しない場合に限る。 ただし、犯人以外の者が、犯罪の後情を知って当該不法財産又は混和財産を取得した場合法令上の義務の履行として提供されたものを収受した場合又は の規定は、前条の規定による没収について準用する。この場合において、 組織的犯罪処罰法 第14条 《犯罪収益等が混和した財産の没収等 前条…》 第1項各号又は第4項各号に掲げる財産以下「不法財産」という。が不法財産以外の財産と混和した場合において、当該不法財産を没収すべきときは、当該混和により生じた財産次条第1項において「混和財産」という。の 中「前条第1項各号又は第4項各号」とあるのは、「国際的な協力の下に 規制薬物 に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための 麻薬及び向精神薬取締法 等の特例等に関する法律第11条第1項各号又は第3項各号」と読み替えるものとする。

13条 (追徴)

1項 第11条第1項 《次に掲げる財産は、これを没収する。 ただ…》 し、第6条第1項若しくは第2項又は第7条の罪が薬物犯罪収益又は薬物犯罪収益に由来する財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において、これらの罪につき第3号から第5号までに掲げる財産の全 の規定により没収すべき財産を没収することができないとき、又は同条第2項の規定によりこれを没収しないときは、その価額を犯人から追徴する。

2項 第11条第3項 《3 次に掲げる財産は、これを没収すること…》 できる。 1 薬物犯罪収益第2条第2項第6号又は第7号に掲げる罪に係るものに限る。 2 薬物犯罪収益に由来する財産第2条第2項第6号又は第7号に掲げる罪に係る薬物犯罪収益の保有又は処分に基づき得たも に規定する財産を没収することができないとき、又は当該財産の性質、その使用の状況、当該財産に関する犯人以外の者の権利の有無その他の事情からこれを没収することが相当でないと認められるときは、その価額を犯人から追徴することができる。

14条 (薬物犯罪収益の推定)

1項 第5条 《業として行う不法輸入等 次に掲げる行為…》 を業とした者これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。は、無期又は5年以上の拘禁刑及び10,010,000円以下の罰金に処する。 1 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第6 の罪に係る 薬物犯罪 収益については、同条各号に掲げる行為を業とした期間内に犯人が取得した財産であって、その価額が当該期間内における犯人の稼働の状況又は法令に基づく給付の受給の状況に照らし不相当に高額であると認められるものは、当該罪に係る薬物犯罪収益と推定する。

15条 (両罰規定)

1項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して 第5条 《業として行う不法輸入等 次に掲げる行為…》 を業とした者これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。は、無期又は5年以上の拘禁刑及び10,010,000円以下の罰金に処する。 1 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第6 から 第9条 《あおり又は唆し 薬物犯罪前条及びこの条…》 の罪を除く。、第6条の罪若しくは第7条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。 までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

4章 没収に関する手続等の特例

16条 (第三者の財産の没収手続等)

1項 第11条第1項 《次に掲げる財産は、これを没収する。 ただ…》 し、第6条第1項若しくは第2項又は第7条の罪が薬物犯罪収益又は薬物犯罪収益に由来する財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において、これらの罪につき第3号から第5号までに掲げる財産の全 各号又は第3項各号に掲げる財産である債権等(不動産及び動産以外の財産をいう。 第18条 《刑事補償の特例 債権等の没収の執行に対…》 する刑事補償法1950年法律第1号による補償の内容については、同法第4条第6項の規定を準用する。 において同じ。)が被告人以外の者(以下この条において「 第三者 」という。)に帰属する場合において、当該 第三者 が被告事件の手続への参加を許されていないときは、没収の裁判をすることができない。

2項 薬物犯罪 又は 第6条 《薬物犯罪収益等隠匿 薬物犯罪収益等の取…》 得若しくは処分につき事実を仮装し、又は薬物犯罪収益等を隠匿した者は、10年以下の拘禁刑若しくは5,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 薬物犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者 若しくは 第7条 《薬物犯罪収益等収受 情を知って、薬物犯…》 罪収益等を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約債権者において相当の財産上 の罪(以下「 薬物犯罪等 」という。)に関し、この法律、 麻薬及び向精神薬取締法 その他の法令の規定により、地上権、抵当権その他の 第三者 の権利がその上に存在する財産を没収しようとする場合において、当該第三者が被告事件の手続への参加を許されていないときも、前項と同様とする。

3項 組織的犯罪処罰法 第18条第3項 《3 地上権、抵当権その他の第三者の権利が…》 その上に存在する財産を没収する場合において、第15条第2項の規定により当該権利を存続させるときは、裁判所は、没収の言渡しと同時に、その旨を宣告しなければならない。 から第5項までの規定は、地上権、抵当権その他の 第三者 の権利がその上に存在する財産を没収する場合において、 第12条 《国外犯 第3条第1項第9号、第11号、…》 第12号及び第15号に掲げる罪に係る同条の罪、第6条第1項第1号に掲げる罪に係る同条の罪並びに第6条の2第1項及び第2項の罪は刑法第4条の2の例に、第9条第1項から第3項まで及び前2条の罪は同法第3条 において準用する組織的犯罪処罰法第15条第2項の規定により当該権利を存続させるべきときについて準用する。

4項 第1項及び第2項に規定する財産の没収に関する手続については、この法律に特別の定めがあるもののほか、刑事事件における 第三者 所有物の没収手続に関する応急措置法(1963年法律第138号)の規定を準用する。

17条 (没収された債権等の処分等)

1項 組織的犯罪処罰法 第19条 《没収された債権等の処分等 没収された債…》 権等は、検察官がこれを処分しなければならない。 2 債権の没収の裁判が確定したときは、検察官は、当該債権の債務者に対し没収の裁判の裁判書の抄本を送付してその旨を通知するものとする。 の規定は 第11条 《犯罪収益等収受 情を知って、犯罪収益等…》 を収受した者は、7年以下の拘禁刑若しくは3,010,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約債権者において相当の財産上の利益を の規定による没収について、組織的犯罪処罰法第20条の規定は権利の移転について登記又は登録を要する財産を没収する裁判に基づき権利の移転の登記又は登録を関係機関に嘱託する場合について準用する。この場合において、同条中「次章第1節」とあるのは、「国際的な協力の下に 規制薬物 に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための 麻薬及び向精神薬取締法 等の特例等に関する法律第5章」と読み替えるものとする。

18条 (刑事補償の特例)

1項 債権等の没収の執行に対する 刑事補償法 1950年法律第1号)による補償の内容については、同法第4条第6項の規定を準用する。

5章 保全手続

19条 (没収保全命令)

1項 裁判所は、 薬物犯罪 等に係る被告事件に関し、この法律、 麻薬及び向精神薬取締法 その他の法令の規定により没収することができる財産(以下「 没収対象財産 」という。)に当たると思料するに足りる相当な理由があり、かつ、当該財産を没収するため必要があると認めるときは、検察官の請求により、又は職権で、没収保全命令を発して、当該財産につき、その処分を禁止することができる。

2項 裁判所は、地上権、抵当権その他の権利がその上に存在する財産について没収保全命令を発した場合又は発しようとする場合において、当該権利が没収により消滅すると思料するに足りる相当な理由がある場合であって当該財産を没収するため必要があると認めるとき、又は当該権利が仮装のものであると思料するに足りる相当の理由があると認めるときは、検察官の請求により、又は職権で、附帯保全命令を別に発して、当該権利の処分を禁止することができる。

3項 裁判官は、前2項に規定する理由及び必要があると認めるときは、公訴が提起される前であっても、検察官又は司法警察員(麻薬取締官、麻薬取締員、警察官又は海上保安官に限るものとし、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。)の請求により、前2項に規定する処分をすることができる。

4項 前3項に定めるもののほか、これらの規定による処分については、 組織的犯罪処罰法 第4章の規定による没収保全命令及び附帯保全命令による処分の禁止の例による。

20条 (追徴保全命令)

1項 裁判所は、 薬物犯罪 等に係る被告事件に関し、 第13条 《追徴 第11条第1項の規定により没収す…》 べき財産を没収することができないとき、又は同条第2項の規定によりこれを没収しないときは、その価額を犯人から追徴する。 2 第11条第3項に規定する財産を没収することができないとき、又は当該財産の性質、 の規定により追徴すべき場合に当たると思料するに足りる相当な理由がある場合において、追徴の裁判の執行をすることができなくなるおそれがあり、又はその執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあると認めるときは、検察官の請求により、又は職権で、追徴保全命令を発して、被告人に対し、その財産の処分を禁止することができる。

2項 裁判官は、前項に規定する理由及び必要があると認めるときは、公訴が提起される前であっても、検察官の請求により、同項に規定する処分をすることができる。

3項 前2項に定めるもののほか、これらの規定による処分については、 組織的犯罪処罰法 第4章の規定による追徴保全命令による処分の禁止の例による。

6章 没収及び追徴の裁判の執行及び保全についての国際共助手続等

21条 (共助の実施)

1項 薬物犯罪 等に当たる行為に係る外国の刑事事件に関して、当該外国から、条約に基づき、没収若しくは追徴の確定裁判の執行又は没収若しくは追徴のための財産の保全の共助の要請があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その要請に係る共助をするものとする。

1号 共助犯罪(共助の要請において犯されたとされている犯罪をいう。以下同じ。)について、日本国の法令によれば刑罰を科すことができないと認められるとき。

2号 共助犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。

3号 没収の確定裁判の執行の共助又は没収のための保全の共助については、要請に係る財産が日本国の法令によれば共助犯罪について没収の裁判をし、又は没収保全をすることができる財産に当たるものでないとき。

4号 追徴の確定裁判の執行の共助又は追徴のための保全の共助については、日本国の法令によれば共助犯罪について要請に係る追徴の裁判をし、又は追徴保全をすることができる場合に当たるものでないとき。

5号 没収の確定裁判の執行の共助については要請に係る財産を有し又はその財産の上に地上権、抵当権その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者が、追徴の確定裁判の執行の共助については当該裁判を受けた者が、自己の責めに帰することのできない理由により、当該裁判に係る手続において自己の権利を主張することができなかったと認められるとき。

6号 没収又は追徴のための保全の共助については、要請国の裁判所若しくは裁判官のした没収若しくは追徴のための保全の裁判に基づく要請である場合又は没収若しくは追徴の裁判の確定後の要請である場合を除き、 第19条第1項 《裁判所は、薬物犯罪等に係る被告事件に関し…》 、この法律、麻薬及び向精神薬取締法その他の法令の規定により没収することができる財産以下「没収対象財産」という。に当たると思料するに足りる相当な理由があり、かつ、当該財産を没収するため必要があると認める 又は 第20条第1項 《裁判所は、薬物犯罪等に係る被告事件に関し…》 、第13条の規定により追徴すべき場合に当たると思料するに足りる相当な理由がある場合において、追徴の裁判の執行をすることができなくなるおそれがあり、又はその執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあると に規定する理由がないと認められるとき。

22条 (追徴とみなす没収)

1項 第11条第1項 《次に掲げる財産は、これを没収する。 ただ…》 し、第6条第1項若しくは第2項又は第7条の罪が薬物犯罪収益又は薬物犯罪収益に由来する財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において、これらの罪につき第3号から第5号までに掲げる財産の全 各号又は第3項各号に掲げる財産に代えて、その価額が当該財産の価額に相当する財産であって当該裁判を受けた者が有するものを没収する確定裁判の執行に係る共助の要請にあっては、当該確定裁判は、この法律による共助の実施については、その者から当該財産の価額を追徴する確定裁判とみなす。

2項 前項の規定は、 第11条第1項 《次に掲げる財産は、これを没収する。 ただ…》 し、第6条第1項若しくは第2項又は第7条の罪が薬物犯罪収益又は薬物犯罪収益に由来する財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において、これらの罪につき第3号から第5号までに掲げる財産の全 各号又は第3項各号に掲げる財産に代えて、その価額が当該財産の価額に相当する財産を没収するための保全に係る共助の要請について準用する。

22条の2 (要請国への共助の実施に係る財産等の譲与)

1項 第21条 《共助の実施 薬物犯罪等に当たる行為に係…》 る外国の刑事事件に関して、当該外国から、条約に基づき、没収若しくは追徴の確定裁判の執行又は没収若しくは追徴のための財産の保全の共助の要請があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その要請 に規定する没収又は追徴の確定裁判の執行の共助の要請をした外国から、当該共助の実施に係る財産又はその価額に相当する金銭の譲与の要請があったときは、その全部又は一部を譲与することができる。

23条 (組織的犯罪処罰法による共助等の例)

1項 前3条に定めるもののほか、 第21条 《共助の実施 薬物犯罪等に当たる行為に係…》 る外国の刑事事件に関して、当該外国から、条約に基づき、没収若しくは追徴の確定裁判の執行又は没収若しくは追徴のための財産の保全の共助の要請があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その要請 の規定による共助及び前条の規定による譲与については、 組織的犯罪処罰法 第6章の規定による共助及び譲与の例による。

7章 雑則

24条 (政令等への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、没収保全と滞納処分との手続の調整について必要な事項で、滞納処分に関するものは、政令で定める。

2項 この法律に定めるもののほか、 第16条 《第三者の財産の没収手続等 第11条第1…》 項各号又は第3項各号に掲げる財産である債権等不動産及び動産以外の財産をいう。第18条において同じ。が被告人以外の者以下この条において「第三者」という。に帰属する場合において、当該第三者が被告事件の手続 の規定による 第三者 の参加及び裁判に関する手続、第5章に規定する没収保全及び追徴保全に関する手続並びに前章に規定する国際共助手続について必要な事項(前項に規定する事項を除く。)は、最高裁判所規則で定める。

25条 (経過措置)

1項 この法律の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

《本則》 ここまで 附則 >  

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