児童虐待の防止等に関する法律《本則》

法番号:2000年法律第82号

略称: 児童虐待防止法

附則 >  

1条 (目的)

1項 この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする。

2条 (児童虐待の定義)

1項 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

1号 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

3号 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前2号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

3条 (児童に対する虐待の禁止)

1項 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。

4条 (国及び地方公共団体の責務等)

1項 及び地方公共団体は、児童虐待の予防及び早期発見、迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援(児童虐待を受けた後18歳となった者に対する自立の支援を含む。第3項及び次条第2項において同じ。並びに児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮その他の児童虐待を受けた児童が家庭(家庭における養育環境と同様の養育環境及び良好な家庭的環境を含む。)で生活するために必要な配慮をした適切な指導及び支援を行うため、関係省庁相互間又は関係地方公共団体相互間、市町村、児童相談所、福祉事務所、 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 2001年法律第31号第3条第1項 《都道府県は、当該都道府県が設置する女性相…》 談支援センターその他の適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとする。 に規定する配偶者暴力相談支援センター(次条第1項において単に「配偶者暴力相談支援センター」という。)、学校及び医療機関の間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援、医療の提供体制の整備その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならない。

2項 及び地方公共団体は、児童相談所等関係機関の職員及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を早期に発見し、その他児童虐待の防止に寄与することができるよう、研修等必要な措置を講ずるものとする。

3項 及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所等関係機関の職員、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援の職務に携わる者の人材の確保及び資質の向上を図るため、研修等必要な措置を講ずるものとする。

4項 及び地方公共団体は、児童虐待の防止に資するため、児童の人権、児童虐待が児童に及ぼす影響、児童虐待に係る通告義務等について必要な広報その他の啓発活動に努めなければならない。

5項 及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、児童虐待の予防及び早期発見のための方策、児童虐待を受けた児童のケア並びに児童虐待を行った保護者の指導及び支援のあり方、学校の教職員及び児童福祉施設の職員が児童虐待の防止に果たすべき役割その他児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとする。

6項 児童相談所の所長は、児童虐待を受けた児童が住所又は居所を当該児童相談所の管轄区域外に移転する場合においては、当該児童の家庭環境その他の環境の変化による影響に鑑み、当該児童及び当該児童虐待を行った保護者について、その移転の前後において指導、助言その他の必要な支援が切れ目なく行われるよう、移転先の住所又は居所を管轄する児童相談所の所長に対し、速やかに必要な情報の提供を行うものとする。この場合において、当該情報の提供を受けた児童相談所長は、 児童福祉法 1947年法律第164号第25条の2第1項 《地方公共団体は、単独で又は共同して、要保…》 護児童第31条第4項に規定する延長者及び第33条第19項に規定する保護延長者を含む。次項及び第6項において同じ。の適切な保護又は要支援児童若しくは特定妊婦への適切な支援を図るため、関係機関、関係団体及 に規定する要保護児童対策地域協議会が速やかに当該情報の交換を行うことができるための措置その他の緊密な連携を図るために必要な措置を講ずるものとする。

7項 児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであって、親権を行うに当たっては、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならない。

8項 何人も、児童の健全な成長のために、家庭(家庭における養育環境と同様の養育環境及び良好な家庭的環境を含む。及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならない。

5条 (児童虐待の早期発見等)

1項 学校、児童福祉施設、病院、都道府県警察、女性相談支援センター、教育委員会、配偶者暴力相談支援センターその他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士、警察官、女性相談支援員その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。

2項 前項に規定する者は、児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。

3項 第1項に規定する者は、正当な理由がなく、その職務に関して知り得た児童虐待を受けたと思われる児童に関する秘密を漏らしてはならない。

4項 前項の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第2項の規定による国及び地方公共団体の施策に協力するように努める義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

5項 学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。

6条 (児童虐待に係る通告)

1項 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

2項 前項の規定による通告は、 児童福祉法 第25条第1項 《要保護児童を発見した者は、これを市町村、…》 都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。 ただし、罪を犯した満14歳以上の児童については、この の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。

3項 刑法 1907年法律第45号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第1項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

7条

1項 市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所が前条第1項の規定による通告を受けた場合においては、当該通告を受けた市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所の所長、所員その他の職員及び当該通告を仲介した児童委員は、その職務上知り得た事項であって当該通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

8条 (通告又は送致を受けた場合の措置)

1項 市町村又は都道府県の設置する福祉事務所が 第6条第1項 《児童虐待を受けたと思われる児童を発見した…》 者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。 の規定による通告を受けたときは、市町村又は福祉事務所の長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。

1号 児童福祉法 第25条の7第1項第1号 《市町村次項に規定する町村を除く。は、要保…》 護児童若しくは要支援児童及びその保護者又は特定妊婦次項において「要保護児童等」という。に対する支援の実施状況を的確に把握するものとし、第25条第1項の規定による通告を受けた児童及び相談に応じた児童又は 若しくは第2項第1号又は 第25条の8第1号 《第25条の8 都道府県の設置する福祉事務…》 所の長は、第25条第1項の規定による通告又は前条第2項第2号若しくは次条第1項第4号の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、必要があると認めたときは、次の各号の の規定により当該児童を児童相談所に送致すること。

2号 当該児童のうち次条第1項の規定による出頭の求め及び調査若しくは質問、 第9条第1項 《児童福祉審議会の委員は、児童福祉審議会の…》 権限に属する事項に関し公正な判断をすることができる者であつて、かつ、児童又は知的障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。 の規定による立入り及び調査若しくは質問又は 児童福祉法 第33条第1項 《児童相談所長は、児童虐待のおそれがあると…》 き、少年法第6条の6第1項の規定により事件の送致を受けたときその他の内閣府令で定める場合であつて、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図 若しくは第2項の規定による1時保護の実施が適当であると認めるものを都道府県知事又は児童相談所長へ通知すること。

2項 児童相談所が 第6条第1項 《この法律で、保護者とは、親権を行う者、未…》 成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。 の規定による通告又は 児童福祉法 第25条の7第1項第1号 《市町村次項に規定する町村を除く。は、要保…》 護児童若しくは要支援児童及びその保護者又は特定妊婦次項において「要保護児童等」という。に対する支援の実施状況を的確に把握するものとし、第25条第1項の規定による通告を受けた児童及び相談に応じた児童又は 若しくは第2項第1号若しくは 第25条の8第1号 《第25条の8 都道府県の設置する福祉事務…》 所の長は、第25条第1項の規定による通告又は前条第2項第2号若しくは次条第1項第4号の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、必要があると認めたときは、次の各号の の規定による送致を受けたときは、児童相談所長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。

1号 児童福祉法 第33条第1項 《児童相談所長は、児童虐待のおそれがあると…》 き、少年法第6条の6第1項の規定により事件の送致を受けたときその他の内閣府令で定める場合であつて、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図 の規定により当該児童の1時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該1時保護を行わせること。

2号 児童福祉法 第26条第1項第3号 《児童相談所長は、第25条第1項の規定によ…》 る通告を受けた児童、第25条の7第1項第1号若しくは第2項第1号、前条第1号又は少年法1948年法律第168号第6条の6第1項若しくは第18条第1項の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、そ の規定により当該児童のうち 第6条第1項 《この法律で、保護者とは、親権を行う者、未…》 成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。 の規定による通告を受けたものを市町村に送致すること。

3号 当該児童のうち 児童福祉法 第6条の3第18項 《この法律で、妊産婦等生活援助事業とは、家…》 庭生活に支障が生じている特定妊婦その他これに類する者及びその者の監護すべき児童を、生活すべき住居に入居させ、又は当該事業に係る事業所その他の場所に通わせ、食事の提供その他日常生活を営むのに必要な便宜の に規定する妊産婦等生活援助事業の実施又は同法第25条の8第3号に規定する 保育の利用等 以下この号において「 保育の利用等 」という。)が適当であると認めるものをその妊産婦等生活援助事業の実施又は保育の利用等に係る都道府県又は市町村の長へ報告し、又は通知すること。

4号 当該児童のうち 児童福祉法 第6条の3第2項 《この法律で、放課後児童健全育成事業とは、…》 小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。 に規定する放課後児童健全育成事業、同条第3項に規定する子育て短期支援事業、同条第5項に規定する養育支援訪問事業、同条第6項に規定する地域子育て支援拠点事業、同条第7項に規定する1時預かり事業、同条第14項に規定する子育て援助活動支援事業、同条第19項に規定する子育て世帯訪問支援事業、同条第20項に規定する児童育成支援拠点事業、同条第21項に規定する親子関係形成支援事業、 子ども・子育て支援法 2012年法律第65号第59条第1号 《第59条 市町村は、内閣府令で定めるとこ…》 ろにより、第61条第1項に規定する市町村子ども・子育て支援事業計画に従って、地域子ども・子育て支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。 1 妊婦及びその配偶者並びに子ども及びその保護者が、確実 に掲げる事業その他市町村が実施する児童の健全な育成に資する事業の実施が適当であると認めるものをその事業の実施に係る市町村の長へ通知すること。

3項 前2項の児童の安全の確認を行うための措置、市町村若しくは児童相談所への送致又は1時保護を行う者は、速やかにこれを行うものとする。

8条の2 (出頭要求等)

1項 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

2項 都道府県知事は、前項の規定により当該児童の保護者の出頭を求めようとするときは、内閣府令で定めるところにより、当該保護者に対し、出頭を求める理由となった事実の内容、出頭を求める日時及び場所、同伴すべき児童の氏名その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。

3項 都道府県知事は、第1項の保護者が同項の規定による出頭の求めに応じない場合は、次条第1項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問その他の必要な措置を講ずるものとする。

9条 (立入調査等)

1項 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

2項 前項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問は、 児童福祉法 第29条 《 都道府県知事は、前条の規定による措置を…》 とるため、必要があると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所若しくは居所又は児童の従業する場所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合に の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問とみなして、同法第61条の5第2項の規定を適用する。

9条の2 (再出頭要求等)

1項 都道府県知事は、 第8条の2第1項 《都道府県知事は、児童虐待が行われているお…》 それがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合におい の保護者又は前条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

2項 第8条の2第2項 《2 都道府県知事は、前項の規定により当該…》 児童の保護者の出頭を求めようとするときは、内閣府令で定めるところにより、当該保護者に対し、出頭を求める理由となった事実の内容、出頭を求める日時及び場所、同伴すべき児童の氏名その他必要な事項を記載した書 の規定は、前項の規定による出頭の求めについて準用する。

9条の3 (臨検、捜索等)

1項 都道府県知事は、 第8条の2第1項 《都道府県知事は、児童虐待が行われているお…》 それがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合におい の保護者又は 第9条第1項 《都道府県知事は、児童虐待が行われているお…》 それがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合においては、その身分を証明する証票を携 の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあるときは、当該児童の安全の確認を行い、又はその安全を確保するため、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、当該児童の住所若しくは居所に臨検させ、又は当該児童を捜索させることができる。

2項 都道府県知事は、前項の規定による臨検又は捜索をさせるときは、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。

3項 都道府県知事は、第1項の 許可状 以下「 許可状 」という。)を請求する場合においては、児童虐待が行われている疑いがあると認められる資料、臨検させようとする住所又は居所に当該児童が現在すると認められる資料及び当該児童の保護者が 第9条第1項 《都道府県知事は、児童虐待が行われているお…》 それがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合においては、その身分を証明する証票を携 の規定による立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避したことを証する資料を提出しなければならない。

4項 前項の請求があった場合においては、地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所又は捜索すべき児童の氏名並びに有効期間、その期間経過後は執行に着手することができずこれを返還しなければならない旨、交付の年月日及び裁判所名を記載し、自己の記名押印した 許可状 を都道府県知事に交付しなければならない。

5項 都道府県知事は、 許可状 を児童の福祉に関する事務に従事する職員に交付して、第1項の規定による臨検又は捜索をさせるものとする。

6項 第1項の規定による臨検又は捜索に係る制度は、児童虐待が保護者がその監護する児童に対して行うものであるために他人から認知されること及び児童がその被害から自ら逃れることが困難である等の特別の事情から児童の生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあることにかんがみ特に設けられたものであることを10分に踏まえた上で、適切に運用されなければならない。

9条の4 (臨検又は捜索の夜間執行の制限)

1項 前条第1項の規定による臨検又は捜索は、 許可状 に夜間でもすることができる旨の記載がなければ、日没から日の出までの間には、してはならない。

2項 日没前に開始した前条第1項の規定による臨検又は捜索は、必要があると認めるときは、日没後まで継続することができる。

9条の5 (許可状の提示)

1項 第9条の3第1項 《都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者…》 又は第9条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあると の規定による臨検又は捜索の 許可状 は、これらの処分を受ける者に提示しなければならない。

9条の6 (身分の証明)

1項 児童の福祉に関する事務に従事する職員は、 第9条の3第1項 《都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者…》 又は第9条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあると の規定による臨検若しくは捜索又は同条第2項の規定による調査若しくは質問(以下「 臨検等 」という。)をするときは、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

9条の7 (臨検又は捜索に際しての必要な処分)

1項 児童の福祉に関する事務に従事する職員は、 第9条の3第1項 《都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者…》 又は第9条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあると の規定による臨検又は捜索をするに当たって必要があるときは、錠をはずし、その他必要な処分をすることができる。

9条の8 (臨検等をする間の出入りの禁止)

1項 児童の福祉に関する事務に従事する職員は、 臨検等 をする間は、何人に対しても、許可を受けないでその場所に出入りすることを禁止することができる。

9条の9 (責任者等の立会い)

1項 児童の福祉に関する事務に従事する職員は、 第9条の3第1項 《都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者…》 又は第9条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあると の規定による臨検又は捜索をするときは、当該児童の住所若しくは居所の所有者若しくは管理者(これらの者の代表者、代理人その他これらの者に代わるべき者を含む。又は同居の親族で成年に達した者を立ち会わせなければならない。

2項 前項の場合において、同項に規定する者を立ち会わせることができないときは、その隣人で成年に達した者又はその地の地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。

10条 (警察署長に対する援助要請等)

1項 児童相談所長は、 第8条第2項 《2 児童相談所が第6条第1項の規定による…》 通告又は児童福祉法第25条の7第1項第1号若しくは第2項第1号若しくは第25条の8第1号の規定による送致を受けたときは、児童相談所長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の の児童の安全の確認を行おうとする場合、又は同項第1号の1時保護を行おうとし、若しくは行わせようとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。都道府県知事が、 第9条第1項 《都道府県知事は、児童虐待が行われているお…》 それがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合においては、その身分を証明する証票を携 の規定による立入り及び調査若しくは質問をさせ、又は 臨検等 をさせようとする場合についても、同様とする。

2項 児童相談所長又は都道府県知事は、児童の安全の確認及び安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ迅速かつ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。

3項 警察署長は、第1項の規定による援助の求めを受けた場合において、児童の生命又は身体の安全を確認し、又は確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同項の職務の執行を援助するために必要な 警察官職務執行法 1948年法律第136号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。

10条の2 (調書)

1項 児童の福祉に関する事務に従事する職員は、 第9条の3第1項 《都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者…》 又は第9条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあると の規定による臨検又は捜索をしたときは、これらの処分をした年月日及びその結果を記載した調書を作成し、立会人に示し、当該立会人とともにこれに署名押印しなければならない。ただし、立会人が署名押印をせず、又は署名押印することができないときは、その旨を付記すれば足りる。

10条の3 (都道府県知事への報告)

1項 児童の福祉に関する事務に従事する職員は、 臨検等 を終えたときは、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。

10条の4 (行政手続法の適用除外)

1項 臨検等 に係る処分については、 行政手続法 1993年法律第88号)第3章の規定は、適用しない。

10条の5 (審査請求の制限)

1項 臨検等 に係る処分については、審査請求をすることができない。

10条の6 (行政事件訴訟の制限)

1項 臨検等 に係る処分については、 行政事件訴訟法 1962年法律第139号第37条の4 《差止めの訴えの要件 差止めの訴えは、一…》 定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。 ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。 2 裁判所は、前項に規定す の規定による差止めの訴えを提起することができない。

11条 (児童虐待を行った保護者に対する指導等)

1項 都道府県知事又は児童相談所長は、児童虐待を行った保護者について 児童福祉法 第27条第1項第2号 《都道府県は、前条第1項第1号の規定による…》 報告又は少年法第18条第2項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。 1 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。 2 児童又はその保護 又は 第26条第1項第2号 《児童相談所長は、第25条第1項の規定によ…》 る通告を受けた児童、第25条の7第1項第1号若しくは第2項第1号、前条第1号又は少年法1948年法律第168号第6条の6第1項若しくは第18条第1項の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、そ の規定により指導を行う場合は、当該保護者について、児童虐待の再発を防止するため、医学的又は心理学的知見に基づく指導を行うよう努めるものとする。

2項 児童虐待を行った保護者について 児童福祉法 第27条第1項第2号 《都道府県は、前条第1項第1号の規定による…》 報告又は少年法第18条第2項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。 1 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。 2 児童又はその保護 の規定により行われる指導は、親子の再統合への配慮その他の児童虐待を受けた児童が家庭(家庭における養育環境と同様の養育環境及び良好な家庭的環境を含む。)で生活するために必要な配慮の下に適切に行われなければならない。

3項 児童虐待を行った保護者について 児童福祉法 第27条第1項第2号 《都道府県は、前条第1項第1号の規定による…》 報告又は少年法第18条第2項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。 1 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。 2 児童又はその保護 の措置が採られた場合においては、当該保護者は、同号の指導を受けなければならない。

4項 前項の場合において保護者が同項の指導を受けないときは、都道府県知事は、当該保護者に対し、同項の指導を受けるよう勧告することができる。

5項 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた保護者が当該勧告に従わない場合において必要があると認めるときは、 児童福祉法 第33条第2項 《都道府県知事は、前項に規定する場合であつ…》 て、必要があると認めるときは、第27条第1項又は第2項の措置第28条第4項の規定による勧告を受けて採る指導措置を除く。を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状 の規定により児童相談所長をして児童虐待を受けた児童の1時保護を行わせ、又は適当な者に当該1時保護を行うことを委託させ、同法第27条第1項第3号又は第28条第1項の規定による措置を採る等の必要な措置を講ずるものとする。

6項 児童相談所長は、第4項の規定による勧告を受けた保護者が当該勧告に従わず、その監護する児童に対し親権を行わせることが著しく当該児童の福祉を害する場合には、必要に応じて、適切に、 児童福祉法 第33条の7 《 児童の親権者に係る民法第834条本文、…》 第834条の2第1項、第835条又は第836条の規定による親権喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判の請求又はこれらの審判の取消しの請求は、これらの規定に定める者のほか、児童相談所長も、これを行うこと の規定による請求を行うものとする。

7項 都道府県は、保護者への指導(第2項の指導及び児童虐待を行った保護者に対する 児童福祉法 第11条第1項第2号 《都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲…》 げる業務を行わなければならない。 1 第10条第1項各号に掲げる市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供、市町村職員の研修その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随す ニの規定による指導をいう。以下この項において同じ。)を効果的に行うため、同法第13条第5項に規定する指導教育担当児童福祉司に同項に規定する指導及び教育のほか保護者への指導を行う者に対する専門的技術に関する指導及び教育を行わせるとともに、 第8条の2第1項 《都道府県知事は、児童虐待が行われているお…》 それがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合におい の規定による調査若しくは質問、 第9条第1項 《都道府県知事は、児童虐待が行われているお…》 それがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。 この場合においては、その身分を証明する証票を携 の規定による立入り及び調査若しくは質問、 第9条の2第1項 《都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者…》 又は前条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われているおそれがあると の規定による調査若しくは質問、 第9条の3第1項 《都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者…》 又は第9条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあると の規定による臨検若しくは捜索又は同条第2項の規定による調査若しくは質問をした児童の福祉に関する事務に従事する職員並びに同法第33条第1項又は第2項の規定による児童の1時保護を行った児童福祉司以外の者に当該児童に係る保護者への指導を行わせることその他の必要な措置を講じなければならない。

12条 (面会等の制限等)

1項 児童虐待を受けた児童について 児童福祉法 第27条第1項第3号 《都道府県は、前条第1項第1号の規定による…》 報告又は少年法第18条第2項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。 1 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。 2 児童又はその保護 の措置(以下「 施設入所等の措置 」という。)が採られ、又は同法第33条第1項若しくは第2項の規定による1時保護が行われた場合において、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため必要があると認めるときは、児童相談所長及び当該児童について 施設入所等の措置 が採られている場合における当該施設入所等の措置に係る同号に規定する施設の長は、内閣府令で定めるところにより、当該児童虐待を行った保護者について、次に掲げる行為の全部又は一部を制限することができる。

1号 当該児童との面会

2号 当該児童との通信

2項 前項の施設の長は、同項の規定による制限を行った場合又は行わなくなった場合は、その旨を児童相談所長に通知するものとする。

3項 児童虐待を受けた児童について 施設入所等の措置 児童福祉法 第28条 《 保護者が、その児童を虐待し、著しくその…》 監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第27条第1項第3号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措 の規定によるものに限る。)が採られ、又は同法第33条第1項若しくは第2項の規定による1時保護が行われた場合において、当該児童虐待を行った保護者に対し当該児童の住所又は居所を明らかにしたとすれば、当該保護者が当該児童を連れ戻すおそれがある等再び児童虐待が行われるおそれがあり、又は当該児童の保護に支障をきたすと認めるときは、児童相談所長は、当該保護者に対し、当該児童の住所又は居所を明らかにしないものとする。

12条の2

1項 児童虐待を受けた児童について 施設入所等の措置 児童福祉法 第28条 《 保護者が、その児童を虐待し、著しくその…》 監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第27条第1項第3号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措 の規定によるものを除く。以下この項において同じ。)が採られた場合において、当該児童虐待を行った保護者に当該児童を引き渡した場合には再び児童虐待が行われるおそれがあると認められるにもかかわらず、当該保護者が当該児童の引渡しを求めること、当該保護者が前条第1項の規定による制限に従わないことその他の事情から当該児童について当該施設入所等の措置を採ることが当該保護者の意に反し、これを継続することが困難であると認めるときは、児童相談所長は、次項の報告を行うに至るまで、同法第33条第1項の規定により当該児童の1時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該1時保護を行わせることができる。

2項 児童相談所長は、前項の1時保護を行った、又は行わせた場合には、速やかに、 児童福祉法 第26条第1項第1号 《児童相談所長は、第25条第1項の規定によ…》 る通告を受けた児童、第25条の7第1項第1号若しくは第2項第1号、前条第1号又は少年法1948年法律第168号第6条の6第1項若しくは第18条第1項の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、そ の規定に基づき、同法第28条の規定による 施設入所等の措置 を要する旨を都道府県知事に報告しなければならない。

12条の3

1項 児童相談所長は、 児童福祉法 第33条第1項 《児童相談所長は、児童虐待のおそれがあると…》 き、少年法第6条の6第1項の規定により事件の送致を受けたときその他の内閣府令で定める場合であつて、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図 の規定により、児童虐待を受けた児童について1時保護を行っている、又は適当な者に委託して、1時保護を行わせている場合(前条第1項の1時保護を行っている、又は行わせている場合を除く。)において、当該児童について 施設入所等の措置 を要すると認めるときであって、当該児童虐待を行った保護者に当該児童を引き渡した場合には再び児童虐待が行われるおそれがあると認められるにもかかわらず、当該保護者が当該児童の引渡しを求めること、当該保護者が 第12条第1項 《都道府県は、児童相談所を設置しなければな…》 らない。 の規定による制限に従わないことその他の事情から当該児童について施設入所等の措置を採ることが当該保護者の意に反すると認めるときは、速やかに、同法第26条第1項第1号の規定に基づき、同法第28条の規定による施設入所等の措置を要する旨を都道府県知事に報告しなければならない。

12条の4

1項 都道府県知事又は児童相談所長は、児童虐待を受けた児童について 施設入所等の措置 が採られ、又は 児童福祉法 第33条第1項 《児童相談所長は、児童虐待のおそれがあると…》 き、少年法第6条の6第1項の規定により事件の送致を受けたときその他の内閣府令で定める場合であつて、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図 若しくは第2項の規定による1時保護が行われ、かつ、 第12条第1項 《都道府県は、児童相談所を設置しなければな…》 らない。 の規定により、当該児童虐待を行った保護者について、同項各号に掲げる行為の全部が制限されている場合において、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため特に必要があると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、6月を超えない期間を定めて、当該保護者に対し、当該児童の住所若しくは居所、就学する学校その他の場所において当該児童の身辺につきまとい、又は当該児童の住所若しくは居所、就学する学校その他その通常所在する場所(通学路その他の当該児童が日常生活又は社会生活を営むために通常移動する経路を含む。)の付近をはいかいしてはならないことを命ずることができる。

2項 都道府県知事又は児童相談所長は、前項に規定する場合において、引き続き児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため特に必要があると認めるときは、6月を超えない期間を定めて、同項の規定による命令に係る期間を更新することができる。

3項 都道府県知事又は児童相談所長は、第1項の規定による命令をしようとするとき(前項の規定により第1項の規定による命令に係る期間を更新しようとするときを含む。)は、 行政手続法 第13条第1項 《行政庁は、不利益処分をしようとする場合に…》 は、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。 1 次のいずれかに該当するとき 聴聞 の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

4項 第1項の規定による命令をするとき(第2項の規定により第1項の規定による命令に係る期間を更新するときを含む。)は、内閣府令で定める事項を記載した命令書を交付しなければならない。

5項 第1項の規定による命令が発せられた後に 施設入所等の措置 が解除され、停止され、若しくは他の措置に変更された場合、 児童福祉法 第33条第1項 《児童相談所長は、児童虐待のおそれがあると…》 き、少年法第6条の6第1項の規定により事件の送致を受けたときその他の内閣府令で定める場合であつて、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図 若しくは第2項の規定による1時保護が解除された場合又は 第12条第1項 《都道府県は、児童相談所を設置しなければな…》 らない。 の規定による制限の全部若しくは一部が行われなくなった場合は、当該命令は、その効力を失う。同法第28条第3項の規定により引き続き施設入所等の措置が採られ、又は同法第33条第15項の規定により引き続き1時保護が行われている場合において、第1項の規定による命令が発せられたときであって、当該命令に係る期間が経過する前に同法第28条第2項の規定による当該施設入所等の措置の期間の更新に係る承認の申立てに対する審判又は同法第33条第14項本文の規定による引き続いての1時保護に係る承認の申立てに対する審判が確定したときも、同様とする。

6項 都道府県知事又は児童相談所長は、第1項の規定による命令をした場合において、その必要がなくなったと認めるときは、内閣府令で定めるところにより、その命令を取り消さなければならない。

13条 (施設入所等の措置の解除等)

1項 都道府県知事は、児童虐待を受けた児童について 施設入所等の措置 が採られ、及び当該児童の保護者について 児童福祉法 第27条第1項第2号 《都道府県は、前条第1項第1号の規定による…》 報告又は少年法第18条第2項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。 1 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。 2 児童又はその保護 の措置が採られた場合において、当該児童について採られた施設入所等の措置を解除しようとするときは、当該児童の保護者について同号の指導を行うこととされた児童福祉司等の意見を聴くとともに、当該児童の保護者に対し採られた当該指導の効果、当該児童に対し再び児童虐待が行われることを予防するために採られる措置について見込まれる効果、当該児童の家庭環境その他内閣府令で定める事項を勘案しなければならない。

2項 都道府県知事は、児童虐待を受けた児童について 施設入所等の措置 が採られ、又は 児童福祉法 第33条第2項 《都道府県知事は、前項に規定する場合であつ…》 て、必要があると認めるときは、第27条第1項又は第2項の措置第28条第4項の規定による勧告を受けて採る指導措置を除く。を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状 の規定による1時保護が行われた場合において、当該児童について採られた施設入所等の措置又は行われた1時保護を解除するときは、当該児童の保護者に対し、親子の再統合の促進その他の児童虐待を受けた児童が家庭で生活することを支援するために必要な助言を行うことができる。

3項 都道府県知事は、前項の助言に係る事務の全部又は一部を内閣府令で定める者に委託することができる。

4項 前項の規定により行われる助言に係る事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、その事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

13条の2 (施設入所等の措置の解除時の安全確認等)

1項 都道府県は、児童虐待を受けた児童について 施設入所等の措置 が採られ、又は 児童福祉法 第33条第2項 《都道府県知事は、前項に規定する場合であつ…》 て、必要があると認めるときは、第27条第1項又は第2項の措置第28条第4項の規定による勧告を受けて採る指導措置を除く。を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状 の規定による1時保護が行われた場合において、当該児童について採られた施設入所等の措置若しくは行われた1時保護を解除するとき又は当該児童が1時的に帰宅するときは、必要と認める期間、市町村、児童福祉施設その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、当該児童の家庭を継続的に訪問することにより当該児童の安全の確認を行うとともに、当該児童の保護者からの相談に応じ、当該児童の養育に関する指導、助言その他の必要な支援を行うものとする。

13条の3 (児童虐待を受けた児童等に対する支援)

1項 市町村は、 子ども・子育て支援法 第27条第1項 《市町村は、教育・保育給付認定子どもが、教…》 育・保育給付認定の有効期間内において、市町村長特別区の区長を含む。以下同じ。が施設型給付費の支給に係る施設として確認する教育・保育施設以下「特定教育・保育施設」という。から当該確認に係る教育・保育地域 に規定する 特定教育・保育施設 次項において「 特定教育・保育施設 」という。又は同法第43条第2項に規定する 特定地域型保育事業 次項において「 特定地域型保育事業 」という。)の利用について、同法第42条第1項若しくは第54条第1項の規定により相談、助言若しくはあっせん若しくは要請を行う場合又は 児童福祉法 第24条第3項 《市町村は、保育の需要に応ずるに足りる保育…》 所、認定こども園子ども・子育て支援法第27条第1項の確認を受けたものに限る。以下この項及び第46条の2第2項において同じ。又は家庭的保育事業等が不足し、又は不足するおそれがある場合その他必要と認められ の規定により調整若しくは要請を行う場合には、児童虐待の防止に寄与するため、特別の支援を要する家庭の福祉に配慮をしなければならない。

2項 特定教育・保育施設 の設置者又は 子ども・子育て支援法 第29条第1項 《市町村は、満3歳未満保育認定子どもが、教…》 育・保育給付認定の有効期間内において、市町村長が地域型保育給付費の支給に係る事業を行う者として確認する地域型保育を行う事業者以下「特定地域型保育事業者」という。から当該確認に係る地域型保育以下「特定地 に規定する 特定地域型保育事業 者は、同法第33条第2項又は第45条第2項の規定により当該特定教育・保育施設を利用する児童(同法第19条第2号又は第3号に該当する児童に限る。以下この項において同じ。又は当該特定地域型保育事業者に係る特定地域型保育事業を利用する児童を選考するときは、児童虐待の防止に寄与するため、特別の支援を要する家庭の福祉に配慮をしなければならない。

3項 及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその年齢及び能力に応じ充分な教育が受けられるようにするため、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。

4項 及び地方公共団体は、居住の場所の確保、進学又は就業の支援その他の児童虐待を受けた者の自立の支援のための施策を講じなければならない。

13条の4 (資料又は情報の提供)

1項 地方公共団体の機関及び病院、診療所、児童福祉施設、学校その他児童の医療、福祉又は教育に関係する機関(地方公共団体の機関を除く。並びに医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、児童福祉施設の職員、学校の教職員その他児童の医療、福祉又は教育に関連する職務に従事する者は、市町村長、都道府県の設置する福祉事務所の長又は児童相談所長から児童虐待に係る児童又はその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他児童虐待の防止等に係る当該児童、その保護者その他の関係者に関する資料又は情報の提供を求められたときは、当該資料又は情報について、当該市町村長、都道府県の設置する福祉事務所の長又は児童相談所長が児童虐待の防止等に関する事務又は業務の遂行に必要な限度で利用し、かつ、利用することに相当の理由があるときは、これを提供することができる。ただし、当該資料又は情報を提供することによって、当該資料又は情報に係る児童、その保護者その他の関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

13条の5 (都道府県児童福祉審議会等への報告)

1項 都道府県知事は、 児童福祉法 第8条第2項 《前項に規定する審議会その他の合議制の機関…》 以下「都道府県児童福祉審議会」という。は、同項に定めるもののほか、児童、妊産婦及び知的障害者の福祉に関する事項を調査審議することができる。 に規定する都道府県児童福祉審議会(同条第1項ただし書に規定する都道府県にあっては、地方社会福祉審議会)に、 第9条第1項 《児童福祉審議会の委員は、児童福祉審議会の…》 権限に属する事項に関し公正な判断をすることができる者であつて、かつ、児童又は知的障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。 の規定による立入り及び調査又は質問、 臨検等 並びに児童虐待を受けた児童に行われた同法第33条第1項又は第2項の規定による1時保護の実施状況、児童の心身に著しく重大な被害を及ぼした児童虐待の事例その他の内閣府令で定める事項を報告しなければならない。

14条 (児童の人格の尊重等)

1項 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。

2項 児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。

15条 (親権の喪失の制度の適切な運用)

1項 民法 1896年法律第89号)に規定する親権の喪失の制度は、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護の観点からも、適切に運用されなければならない。

16条 (大都市等の特例)

1項 この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、 地方自治法 1947年法律第67号第252条の19第1項 《政令で指定する人口五十万以上の市以下「指…》 定都市」という。は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することがで 指定都市 以下「 指定都市 」という。及び同法第252条の22第1項の 中核市 以下「 中核市 」という。並びに 児童福祉法 第59条の4第1項 《この法律中都道府県が処理することとされて…》 いる事務で政令で定めるものは、指定都市及び中核市並びに児童相談所を設置する市特別区を含む。以下この項において同じ。として政令で定める市以下「児童相談所設置市」という。においては、政令で定めるところによ に規定する児童相談所設置市においては、政令で定めるところにより、指定都市若しくは中核市又は児童相談所設置市(以下「 指定都市等 」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。

17条 (罰則)

1項 第12条の4第1項 《都道府県知事又は児童相談所長は、児童虐待…》 を受けた児童について施設入所等の措置が採られ、又は児童福祉法第33条第1項若しくは第2項の規定による1時保護が行われ、かつ、第12条第1項の規定により、当該児童虐待を行った保護者について、同項各号に掲 の規定による命令(同条第2項の規定により同条第1項の規定による命令に係る期間が更新された場合における当該命令を含む。)に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は1,010,000円以下の罰金に処する。

18条

1項 第13条第4項 《4 前項の規定により行われる助言に係る事…》 務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、その事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 の規定に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

《本則》 ここまで 附則 >  

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