死体解剖保存法《本則》

法番号:1949年法律第204号

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1条

1項 この法律は、死体(妊娠4月以上の死胎を含む。以下同じ。)の解剖及び保存並びに死因調査の適正を期することによつて公衆衛生の向上を図るとともに、医学(歯学を含む。以下同じ。)の教育又は研究に資することを目的とする。

2条

1項 死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

1号 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて、厚生労働大臣が適当と認定したものが解剖する場合

2号 医学に関する大学(大学の学部を含む。以下同じ。)の解剖学、病理学又は法医学の教授又は准教授が解剖する場合

3号 第8条 《 政令で定める地を管轄する都道府県知事は…》 、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によつても死因の判明しない場合 の規定により解剖する場合

4号 刑事訴訟法 1948年法律第131号第129条 《 検証については、身体の検査、死体の解剖…》 、墳墓の発掘、物の破壊その他必要な処分をすることができる。同法第222条第1項において準用する場合を含む。)、第168条第1項又は第225条第1項の規定により解剖する場合

5号 食品衛生法 1947年法律第233号第64条第1項 《都道府県知事等は、原因調査上必要があると…》 認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包装に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を遺族の同意を得て解剖に付することができる。 又は第2項の規定により解剖する場合

6号 検疫法 1951年法律第201号第13条第2項 《2 検疫所長は、前項の検査について必要が…》 あると認めるときは、死体の解剖を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。 この場合において、その死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔 の規定により解剖する場合

7号 警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律 2012年法律第34号第6条第1項 《警察署長は、取扱死体について、第3項に規…》 定する法人又は機関に所属する医師その他法医学に関する専門的な知識経験を有する者の意見を聴き、死因を明らかにするため特に必要があると認めるときは、解剖を実施することができる。 この場合において、当該解剖同法第12条において準用する場合を含む。)の規定により解剖する場合

2項 保健所長は、公衆衛生の向上又は医学の教育若しくは研究のため特に必要があると認められる場合でなければ、前項の規定による許可を与えてはならない。

3項 第1項の規定による許可に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

3条

1項 厚生労働大臣は、前条第1項第1号の認定を受けた者が左の各号の1に該当するときは、その認定を取り消すことができる。

1号 医師又は歯科医師がその免許を取り消され、又は医業若しくは歯科医業の停止を命ぜられたとき。

2号 この法律の規定又はこの法律の規定に基く厚生労働省令の規定に違反したとき。

3号 罰金以上の刑に処せられたとき。

4号 認定を受けた日から5年を経過したとき。

4条

1項 厚生労働大臣は、 第2条第1項第1号 《死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ…》 、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて の認定又はその認定の取消を行うに当つては、あらかじめ、医道審議会の意見を聞かなければならない。

2項 厚生労働大臣は、 第2条第1項第1号 《死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ…》 、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて の認定をしたときは、認定証明書を交付する。

3項 第2条第1項第1号 《死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ…》 、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて の認定及びその認定の取消に関して必要な事項は、政令で定める。

5条及び6条

1項 削除

7条

1項 死体の解剖をしようとする者は、その遺族の承諾を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

1号 死亡確認後30日を経過しても、なおその死体について引取者のない場合

2号 2人以上の医師(うち1人は歯科医師であつてもよい。)が診療中であつた患者が死亡した場合において、主治の医師を含む2人以上の診療中の医師又は歯科医師がその死因を明らかにするため特にその解剖の必要を認め、かつ、その遺族の所在が不明であり、又は遺族が遠隔の地に居住する等の事由により遺族の諾否の判明するのを待つていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかな場合

3号 第2条第1項第3号 《死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ…》 、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて 、第4号又は第7号に該当する場合

4号 食品衛生法 第64条第2項 《前項の場合において、その死体を解剖しなけ…》 れば原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼすおそれがあると認めるときは、遺族の同意を得ないでも、これに通知した上で、その死体を解剖に付することができる。 の規定により解剖する場合

5号 検疫法 第13条第2項 《2 検疫所長は、前項の検査について必要が…》 あると認めるときは、死体の解剖を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。 この場合において、その死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔 後段の規定に該当する場合

8条

1項 政令で定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によつても死因の判明しない場合には解剖させることができる。但し、変死体又は変死の疑がある死体については、 刑事訴訟法 第229条 《 変死者又は変死の疑のある死体があるとき…》 は、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。 検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。 の規定による検視があつた後でなければ、検案又は解剖させることができない。

2項 前項の規定による検案又は解剖は、 刑事訴訟法 の規定による検証又は鑑定のための解剖を妨げるものではない。

9条

1項 死体の解剖は、特に設けた解剖室においてしなければならない。但し、特別の事情がある場合において解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けた場合及び 第2条第1項第4号 《死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ…》 、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて に掲げる場合は、この限りでない。

10条

1項 身体の正常な構造を明らかにするための解剖は、医学に関する大学において行うものとする。

11条

1項 死体を解剖した者は、その死体について犯罪と関係のある異状があると認めたときは、24時間以内に、解剖をした地の警察署長に届け出なければならない。

12条

1項 引取者のない死体については、その所在地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、 地方自治法 1947年法律第67号第252条の19第1項 《政令で指定する人口五十万以上の市以下「指…》 定都市」という。は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することがで の指定都市にあつては、区長又は総合区長とする。以下同じ。)は、医学に関する大学の長(以下「 学校長 」という。)から医学の教育又は研究のため交付の要求があつたときは、その死亡確認後、これを交付することができる。

13条

1項 市町村長は、前条の規定により死体の交付をしたときは、 学校長 に死体交付証明書を交付しなければならない。

2項 前項の規定による死体交付証明書の交付があつたときは、 学校長 の行う埋葬又は火葬については、 墓地、埋葬等に関する法律 1948年法律第48号第5条第1項 《埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚…》 生労働省令で定めるところにより、市町村長特別区の区長を含む。以下同じ。の許可を受けなければならない。 の規定による許可があつたものとみなし、死体交付証明書は、同法第8条の規定による埋葬許可証又は火葬許可証とみなす。

14条

1項 第12条 《 引取者のない死体については、その所在地…》 の市町村長特別区の区長を含むものとし、地方自治法1947年法律第67号第252条の19第1項の指定都市にあつては、区長又は総合区長とする。以下同じ。は、医学に関する大学の長以下「学校長」という。から医 の規定により死体の交付を受けた 学校長 は、死亡の確認後30日以内に引取者から引渡の要求があつたときは、その死体を引き渡さなければならない。

15条

1項 前条に規定する期間を経過した後においても、死者の相続人その他死者と相当の関係のある引取者から引渡の要求があつたときは、その死体の全部又は一部を引き渡さなければならない。但し、その死体が特に得がたいものである場合において、医学の教育又は研究のためその保存を必要とするときは、この限りでない。

16条

1項 第12条 《 引取者のない死体については、その所在地…》 の市町村長特別区の区長を含むものとし、地方自治法1947年法律第67号第252条の19第1項の指定都市にあつては、区長又は総合区長とする。以下同じ。は、医学に関する大学の長以下「学校長」という。から医 の規定により交付する死体についても、 行旅病人及行旅死亡人取扱法 1899年法律第93号)に規定する市町村は、遅滞なく、同法所定の手続( 第7条 《 死体の解剖をしようとする者は、その遺族…》 の承諾を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。 1 死亡確認後30日を経過しても、なおその死体について引取者のない場合 2 2人以上の医師うち1人 の規定による埋火葬を除く。)を行わなければならない。

17条

1項 医学に関する大学又は医療法(1948年法律第205号)の規定による地域医療支援病院、特定機能病院若しくは臨床研究中核病院の長は、医学の教育又は研究のため特に必要があるときは、遺族の承諾を得て、死体の全部又は一部を標本として保存することができる。

2項 遺族の所在が不明のとき、及び 第15条 《 前条に規定する期間を経過した後において…》 も、死者の相続人その他死者と相当の関係のある引取者から引渡の要求があつたときは、その死体の全部又は一部を引き渡さなければならない。 但し、その死体が特に得がたいものである場合において、医学の教育又は 但書に該当するときは、前項の承諾を得ることを要しない。

18条

1項 第2条 《 死体の解剖をしようとする者は、あらかじ…》 め、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつ の規定により死体の解剖をすることができる者は、医学の教育又は研究のため特に必要があるときは、解剖をした後その死体( 第12条 《 引取者のない死体については、その所在地…》 の市町村長特別区の区長を含むものとし、地方自治法1947年法律第67号第252条の19第1項の指定都市にあつては、区長又は総合区長とする。以下同じ。は、医学に関する大学の長以下「学校長」という。から医 の規定により市町村長から交付を受けた死体を除く。)の一部を標本として保存することができる。但し、その遺族から引渡の要求があつたときは、この限りでない。

19条

1項 前2条の規定により保存する場合を除き、死体の全部又は一部を保存しようとする者は、遺族の承諾を得、かつ、保存しようとする地の都道府県知事( 地域保健法 1947年法律第101号第5条第1項 《保健所は、都道府県、地方自治法1947年…》 法律第67号第252条の19第1項の指定都市、同法第252条の22第1項の中核市その他の政令で定める市又は特別区が、これを設置する。 の政令で定める市又は特別区にあつては、市長又は区長。)の許可を受けなければならない。

2項 遺族の所在が不明のときは、前項の承諾を得ることを要しない。

20条

1項 死体の解剖を行い、又はその全部若しくは一部を保存する者は、死体の取扱に当つては、特に礼意を失わないように注意しなければならない。

21条

1項 学校長 は、 第12条 《 引取者のない死体については、その所在地…》 の市町村長特別区の区長を含むものとし、地方自治法1947年法律第67号第252条の19第1項の指定都市にあつては、区長又は総合区長とする。以下同じ。は、医学に関する大学の長以下「学校長」という。から医 の規定により交付を受けた死体については、 行旅病人及行旅死亡人取扱法 第11条 《 行旅死亡人取扱の費用は先つ其の遺留の金…》 銭若は有価証券を以て之に充て仍足らさるときは相続人の負担とし相続人より弁償を得さるときは死亡人の扶養義務者の負担とす 及び 第13条 《 市町村は第9条の公告後60日を経過する…》 も仍行旅死亡人取扱費用の弁償を得さるときは行旅死亡人の遺留物品を売却して其の費用に充つることを得其の仍足らさる場合に於て費用の弁償を為すへき公共団体に関しては勅令の定むる所に依る 市町村は行旅死亡人取 の規定にかかわらず、その運搬に関する諸費、埋火葬に関する諸費及び墓標費であつて、死体の交付を受ける際及びその後に要したものを負担しなければならない。

22条

1項 第2条第1項 《死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ…》 、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて第14条 《 第12条の規定により死体の交付を受けた…》 学校長は、死亡の確認後30日以内に引取者から引渡の要求があつたときは、その死体を引き渡さなければならない。 又は 第15条 《 前条に規定する期間を経過した後において…》 も、死者の相続人その他死者と相当の関係のある引取者から引渡の要求があつたときは、その死体の全部又は一部を引き渡さなければならない。 但し、その死体が特に得がたいものである場合において、医学の教育又は の規定に違反した者は、6月以下の拘禁刑又は40,000円以下の罰金に処する。

23条

1項 第9条 《 死体の解剖は、特に設けた解剖室において…》 しなければならない。 但し、特別の事情がある場合において解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けた場合及び第2条第1項第4号に掲げる場合は、この限りでない。 又は 第19条 《 前2条の規定により保存する場合を除き、…》 死体の全部又は一部を保存しようとする者は、遺族の承諾を得、かつ、保存しようとする地の都道府県知事地域保健法1947年法律第101号第5条第1項の政令で定める市又は特別区にあつては、市長又は区長。の許可 の規定に違反した者は、30,000円以下の罰金に処する。

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