入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律《本則》

法番号:2002年法律第101号

略称: 入札談合防止法・官製談合防止法

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1条 (趣旨)

1項 この法律は、公正取引委員会による各省各庁の長等に対する入札談合等関与行為を排除するために必要な改善措置の要求、入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償の請求、当該職員に係る懲戒事由の調査、関係行政機関の連携協力等入札談合等関与行為を排除し、及び防止するための措置について定めるとともに、職員による入札等の公正を害すべき行為についての罰則を定めるものとする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 各省各庁の長 」とは、財政法(1947年法律第34号)第20条第2項に規定する 各省各庁の長 をいう。

2項 この法律において「 特定法人 」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

1号 又は地方公共団体が資本金の2分の一以上を出資している法人

2号 特別の法律により設立された法人のうち、国又は地方公共団体が法律により、常時、発行済株式の総数又は総株主の議決権の3分の一以上に当たる株式の保有を義務付けられている株式会社(前号に掲げるもの及び政令で定めるものを除く。

3項 この法律において「 各省各庁の長等 」とは、 各省各庁の長 、地方公共団体の長及び 特定法人 の代表者をいう。

4項 この法律において「 入札談合等 」とは、国、地方公共団体又は 特定法人 以下「 国等 」という。)が入札、競り売りその他競争により相手方を選定する方法(以下「 入札等 」という。)により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、当該入札に参加しようとする事業者が他の事業者と共同して落札すべき者若しくは落札すべき価格を決定し、又は事業者団体が当該入札に参加しようとする事業者に当該行為を行わせること等により、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(1947年法律第54号)第3条又は 第8条第1号 《職員による入札等の妨害 第8条 職員が、…》 その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその の規定に違反する行為をいう。

5項 この法律において「 入札談合等関与行為 」とは、国若しくは地方公共団体の 職員 又は 特定法人 の役員若しくは職員(以下「 職員 」という。)が 入札談合等 に関与する行為であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

1号 事業者又は事業者団体に 入札談合等 を行わせること。

2号 契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。

3号 入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が 入札談合等 を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを、特定の者に対して教示し、又は示唆すること。

4号 特定の 入札談合等 に関し、事業者、事業者団体その他の者の明示若しくは黙示の依頼を受け、又はこれらの者に自ら働きかけ、かつ、当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、又はその他の方法により、入札談合等をほう助すること。

3条 (各省各庁の長等に対する改善措置の要求等)

1項 公正取引委員会は、 入札談合等 の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があると認めるときは、 各省各庁の長 等に対し、当該入札談合等関与行為を排除するために必要な入札及び契約に関する事務に係る改善措置(以下単に「改善措置」という。)を講ずべきことを求めることができる。

2項 公正取引委員会は、 入札談合等 の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があったと認めるときは、当該入札談合等関与行為が既になくなっている場合においても、特に必要があると認めるときは、 各省各庁の長 等に対し、当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要な改善措置を講ずべきことを求めることができる。

3項 公正取引委員会は、前2項の規定による求めをする場合には、当該求めの内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない。

4項 各省各庁の長 等は、第1項又は第2項の規定による求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該 入札談合等 関与行為があり、又は当該入札談合等関与行為があったことが明らかとなったときは、当該調査の結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除し、又は当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要と認める改善措置を講じなければならない。

5項 各省各庁の長 等は、前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

6項 各省各庁の長 等は、第4項の調査の結果及び同項の規定により講じた改善措置の内容を公表するとともに、公正取引委員会に通知しなければならない。

7項 公正取引委員会は、前項の通知を受けた場合において、特に必要があると認めるときは、 各省各庁の長 等に対し、意見を述べることができる。

4条 (職員に対する損害賠償の請求等)

1項 各省各庁の長 等は、前条第1項又は第2項の規定による求めがあったときは、当該 入札談合等 関与行為による 国等 の損害の有無について必要な調査を行わなければならない。

2項 各省各庁の長 等は、前項の調査の結果、 国等 に損害が生じたと認めるときは、当該 入札談合等 関与行為を行った 職員 の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならない。

3項 各省各庁の長 等は、前2項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

4項 各省各庁の長 等は、第1項及び第2項の調査の結果を公表しなければならない。

5項 各省各庁の長 等は、第2項の調査の結果、当該 入札談合等 関与行為を行った 職員 が故意又は重大な過失により 国等 に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない。

6項 入札談合等 関与行為を行った 職員 予算執行職員等の責任に関する法律 1950年法律第172号第3条第2項 《2 予算執行職員は、故意又は重大な過失に…》 因り前項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。同法第9条第2項において準用する場合を含む。)の規定により弁償の責めに任ずべき場合については、 各省各庁の長 又は公庫の長(同条第1項に規定する公庫の長をいう。)は、第2項、第3項(第2項の調査に係る部分に限る。)、第4項(第2項の調査の結果の公表に係る部分に限る。及び前項の規定にかかわらず、速やかに、同法に定めるところにより、必要な措置をとらなければならない。この場合においては、同法第4条第4項(同法第9条第2項において準用する場合を含む。)中「遅滞なく」とあるのは、「速やかに、当該予算執行職員の入札談合等関与行為(入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による 入札等 の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(2002年法律第101号)第2条第5項に規定する入札談合等関与行為をいう。)に係る同法第4条第1項の調査の結果を添えて」とする。

7項 入札談合等 関与行為を行った 職員 地方自治法 1947年法律第67号第243条の2の9第1項 《会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助…》 する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失現金については、故意又は過失により、その保管に係る現金、有価証券、物品基金に属する動産を含む。若 地方公営企業法 1952年法律第292号第34条 《職員の賠償責任 地方自治法第243条の…》 2の9の規定は、地方公営企業の業務に従事する職員の賠償責任について準用する。 この場合において、同条第1項中「規則」とあるのは「規則又は企業管理規程」と、同条第8項中「議会の同意を得て」とあるのは「条 において準用する場合を含む。)の規定により賠償の責めに任ずべき場合については、第2項、第3項(第2項の調査に係る部分に限る。)、第4項(第2項の調査の結果の公表に係る部分に限る。及び第5項の規定は適用せず、 地方自治法 第243条の2の9第3項 《3 普通地方公共団体の長は、第1項の職員…》 が同項に規定する行為により当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて 中「決定することを求め」とあるのは、「決定することを速やかに求め」と読み替えて、同条( 地方公営企業法 第34条 《職員の賠償責任 地方自治法第243条の…》 2の9の規定は、地方公営企業の業務に従事する職員の賠償責任について準用する。 この場合において、同条第1項中「規則」とあるのは「規則又は企業管理規程」と、同条第8項中「議会の同意を得て」とあるのは「条 において準用する場合を含む。)の規定を適用する。

5条 (職員に係る懲戒事由の調査)

1項 各省各庁の長 等は、 第3条第1項 《公正取引委員会は、入札談合等の事件につい…》 ての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為を排除するために必要な入札及び契約に関する事務に係る改善措置以下単に「改善措置」 又は第2項の規定による求めがあったときは、当該 入札談合等 関与行為を行った 職員 に対して懲戒処分( 特定法人 行政執行法人( 独立行政法人通則法 1999年法律第103号第2条第4項 《4 この法律において「行政執行法人」とは…》 、公共上の事務等のうち、その特性に照らし、国の行政事務と密接に関連して行われる国の指示その他の国の相当な関与の下に確実に執行することが求められるものを国が事業年度ごとに定める業務運営に関する目標を達成 に規定する行政執行法人をいう。以下この項において同じ。及び特定地方独立行政法人( 地方独立行政法人法 2003年法律第118号第2条第2項 《2 この法律において「特定地方独立行政法…》 人」とは、地方独立行政法人第21条第2号に掲げる業務を行うものを除く。のうち、その業務の停滞が住民の生活、地域社会若しくは地域経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすため、又はその業務運営における中立性 に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下この項において同じ。)を除く。)にあっては、免職、停職、減給又は戒告の処分その他の制裁)をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。ただし、当該求めを受けた各省各庁の長、地方公共団体の長、行政執行法人の長又は特定地方独立行政法人の理事長が、当該職員の任命権を有しない場合(当該職員の任命権を委任した場合を含む。)は、当該職員の任命権を有する者(当該職員の任命権の委任を受けた者を含む。以下「 任命権者 」という。)に対し、 第3条第1項 《地方独立行政法人は、その行う事務及び事業…》 が住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであることに鑑み、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならない。 又は第2項の規定による求めがあった旨を通知すれば足りる。

2項 前項ただし書の規定による通知を受けた 任命権者 は、当該 入札談合等 関与行為を行った 職員 に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。

3項 各省各庁の長 又は 任命権者 は、第1項本文又は前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

4項 各省各庁の長 又は 任命権者 は、それぞれ第1項本文又は第2項の調査の結果を公表しなければならない。

6条 (指定職員による調査)

1項 各省各庁の長 又は 任命権者 は、その指定する 職員 以下この条において「 指定職員 」という。)に、 第3条第4項 《4 各省各庁の長等は、第1項又は第2項の…》 規定による求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該入札談合等関与行為があり、又は当該入札談合等関与行為があったことが明らかとなったときは、当該調査の結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除し、又第4条第1項 《各省各庁の長等は、前条第1項又は第2項の…》 規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無について必要な調査を行わなければならない。 若しくは第2項又は前条第1項本文若しくは第2項の規定による 調査 以下この条において「 調査 」という。)を実施させなければならない。この場合において、各省各庁の長等又は任命権者は、当該調査を適正に実施するに足りる能力、経験等を有する職員を指定する等当該調査の実効を確保するために必要な措置を講じなければならない。

2項 指定職員 は、 調査 に当たっては、公正かつ中立に実施しなければならない。

3項 指定職員 調査 を実施する場合においては、当該各省各庁(財政法第21条に規定する各省各庁をいう。以下同じ。)、地方公共団体又は 特定法人 職員 は、当該調査に協力しなければならない。

7条 (関係行政機関の連携協力)

1項 国の関係行政機関は、 入札談合等 関与行為の防止に関し、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

8条 (職員による入札等の妨害)

1項 職員 が、その所属する 国等 入札等 により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、5年以下の拘禁刑又は2,510,000円以下の罰金に処する。

9条 (運用上の配慮)

1項 この法律の運用に当たっては、入札及び契約に関する事務を適正に実施するための地方公共団体等の自主的な努力に10分配慮しなければならない。

10条 (事務の委任)

1項 各省各庁の長 は、この法律に規定する事務を、当該各省各庁の外局(法律で国務大臣をもってその長に充てることとされているものに限る。)の長に委任することができる。

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