急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律《本則》

法番号:1969年法律第57号

略称: がけ崩れ防止法・急傾斜地法

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1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護するため、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置を講じ、もつて民生の安定と国土の保全とに資することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 急傾斜地 」とは、傾斜度が三十度以上である土地をいう。

2項 この法律において「 急傾斜地崩壊防止施設 」とは、次条第1項の規定により指定される 急傾斜地 崩壊危険区域内にある擁壁、排水施設その他の急傾斜地の崩壊を防止するための施設をいう。

3項 この法律において「 急傾斜地崩壊防止工事 」とは、 急傾斜地 崩壊防止施設の設置又は改造その他次条第1項の規定により指定される急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊を防止するための工事をいう。

3条 (急傾斜地崩壊危険区域の指定)

1項 都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見をきいて、崩壊するおそれのある 急傾斜地 で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち、当該急傾斜地の崩壊が助長され、又は誘発されるおそれがないようにするため、 第7条第1項 《急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各…》 号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。 ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるそ 各号に掲げる行為が行なわれることを制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができる。

2項 前項の指定は、この法律の目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。

3項 都道府県知事は、第1項の指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該 急傾斜地 崩壊危険区域を公示するとともに、その旨を関係市町村長に通知しなければならない。これを廃止するときも、同様とする。

4項 急傾斜地 崩壊危険区域の指定又は廃止は、前項の公示によつてその効力を生ずる。

4条 (調査)

1項 前条第1項の指定は、必要に応じ、当該指定に係る土地に関し、地形、地質、降水等の状況に関する現地調査をして行なうものとする。

5条 (調査のための立入り)

1項 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、前条の調査のためにやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として1時使用することができる。

2項 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。

3項 第1項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

4項 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。

5項 第1項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

6項 第1項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置場又は作業場として1時使用しようとする者は、あらかじめ、当該土地の占有者及び所有者に通知して、その意見をきかなければならない。

7項 土地の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入り又は1時使用を拒み、又は妨げてはならない。

8項 都道府県は、第1項の規定による立入り又は1時使用により損失を受けた者がある場合においては、その者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

9項 前項の規定による損失の補償については、都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。

10項 前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服のある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から30日以内に、収用委員会に 土地収用法 1951年法律第219号第94条 《前3条による損失の補償の裁決手続 前3…》 条の規定による損失の補償は、起業者と損失を受けた者前条第1項に規定する工事をすることを必要とする者を含む。以下この条において同じ。とが協議して定めなければならない。 2 前項の規定による協議が成立しな の規定による裁決を申請することができる。

2章 急傾斜地崩壊危険区域に関する管理等

6条 (標識の設置)

1項 都道府県は、 急傾斜地 崩壊危険区域の指定があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該急傾斜地崩壊危険区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

7条 (行為の制限)

1項 急傾斜地 崩壊危険区域内においては、次の各号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるその他の行為については、この限りでない。

1号 水を放流し、又は停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為

2号 ため池、用水路その他の 急傾斜地 崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造

3号 のり切、切土、掘さく又は盛土

4号 立木竹の伐採

5号 木竹の滑下又は地引による搬出

6号 土石の採取又は集積

7号 前各号に掲げるもののほか、 急傾斜地 の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのある行為で政令で定めるもの

2項 都道府県知事は、前項の許可に、 急傾斜地 の崩壊を防止するために必要な条件を附することができる。

3項 急傾斜地 崩壊危険区域の指定の際当該急傾斜地崩壊危険区域内においてすでに第1項各号に掲げる行為(非常災害のために必要な応急措置として行なう行為及び同項ただし書に規定する政令で定めるその他の行為を除く。)に着手している者は、その指定の日から起算して14日以内に、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

4項 又は地方公共団体が第1項の許可を受けなければならない行為(以下「 制限行為 」という。)をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議することをもつて足りる。

8条 (監督処分)

1項 都道府県知事は、次の各号の1に該当する者に対して、前条第1項の許可を取り消し、若しくは同項の許可に附した条件を変更し、又は 制限行為 の中止その他制限行為に伴う 急傾斜地 の崩壊を防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。

1号 前条第1項の規定に違反した者

2号 前条第1項の許可に附した条件に違反した者

3号 偽りその他不正な手段により前条第1項の許可を受けた者

2項 都道府県知事は、前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくてその措置をとることを命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、その措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者に行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置をとるべき旨及びその期限までにその措置をとらないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行なうべき旨を、あらかじめ、公告しなければならない。

9条 (土地の保全等)

1項 急傾斜地 崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、その土地の維持管理については、当該急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊が生じないように努めなければならない。

2項 急傾斜地 崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者は、当該急傾斜地の崩壊による被害を除却し、又は軽減するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

3項 都道府県知事は、 急傾斜地 崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊による災害を防止するために必要があると認める場合においては、当該急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者、その土地内において 制限行為 を行つた者、当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者等に対し、急傾斜地崩壊防止工事の施行その他の必要な措置をとることを勧告することができる。

10条 (改善命令)

1項 都道府県知事は、 急傾斜地 崩壊危険区域内の土地において 制限行為 当該急傾斜地崩壊危険区域の指定前に行なわれた行為又はその指定の際すでに着手している行為であつて、その行為が当該指定後に行なわれたとしたならば制限行為に該当する行為となるべきものを含む。以下同じ。)が行なわれ、かつ、当該制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な急傾斜地崩壊防止工事がなされていないか又はきわめて不完全であることのために、これを放置するときは、当該制限行為に伴う急傾斜地の崩壊のおそれが著しいと認められる場合においては、その著しいおそれを除去するために必要であり、かつ、土地の利用状況、当該制限行為が行なわれるに至つた事情等からみて相当であると認められる限度において、当該制限行為の行なわれた土地の所有者、管理者又は占有者に対し、相当の猶予期限をつけて、急傾斜地崩壊防止工事の施行を命ずることができる。

2項 前項に規定する場合において、 制限行為 の行なわれた土地の所有者、管理者又は占有者以外の者の行為によつて同項に規定する 急傾斜地 の崩壊の著しいおそれが生じたことが明らかであり、その行為をした者に同項の工事の全部又は一部を行なわせることが相当であると認められ、かつ、これを行なわせることについて当該制限行為が行なわれた土地の所有者、管理者又は占有者に異議がないときは、都道府県知事は、その行為をした者に対して、同項の工事の全部又は一部の施行を命ずることができる。

3項 前2項の規定は、 第8条第1項 《都道府県知事は、次の各号の1に該当する者…》 に対して、前条第1項の許可を取り消し、若しくは同項の許可に附した条件を変更し、又は制限行為の中止その他制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。 1 前条第 各号に掲げる者に対しては、適用しない。

4項 第8条第2項 《2 都道府県知事は、前項の規定により必要…》 な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくてその措置をとることを命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、そ の規定は、第1項又は第2項の場合について準用する。

11条 (立入検査)

1項 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、 第7条第1項 《急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各…》 号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。 ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるそ第8条第1項 《都道府県知事は、次の各号の1に該当する者…》 に対して、前条第1項の許可を取り消し、若しくは同項の許可に附した条件を変更し、又は制限行為の中止その他制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。 1 前条第 又は前条第1項若しくは第2項の規定による権限を行なうために必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地における 急傾斜地 崩壊防止工事若しくは 制限行為 の状況を検査することができる。

2項 第5条第5項 《5 第1項の規定により他人の占有する土地…》 に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。 の規定は、前項の場合について準用する。

3項 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

12条 (都道府県の施行する急傾斜地崩壊防止工事)

1項 都道府県は、 急傾斜地 崩壊防止工事のうち、 制限行為 に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な工事以外の工事で、当該急傾斜地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者が施行することが困難又は不適当と認められるものを施行するものとする。

2項 前項の規定は、 砂防法 1897年法律第29号第2条 《 砂防設備を要する土地又は此の法律に依り…》 治水上砂防の為一定の行為を禁止若は制限すへき土地は国土交通大臣之を指定す の規定により指定された土地、 森林法 1951年法律第249号第25条第1項 《農林水産大臣は、次の各号指定しようとする…》 森林が民有林である場合にあつては、第1号から第3号までに掲げる目的を達成するため必要があるときは、森林民有林にあつては、重要流域二以上の都府県の区域にわたる流域その他の国土保全上又は国民経済上特に重要 若しくは 第25条の2第1項 《都道府県知事は、前条第1項第1号から第3…》 号までに掲げる目的を達成するため必要があるときは、重要流域以外の流域内に存する民有林を保安林として指定することができる。 この場合には、同項ただし書及び同条第2項の規定を準用する。 若しくは第2項の規定により指定された保安林(同法第25条の2第1項後段又は第2項後段において準用する同法第25条第2項の規定により指定された保安林を除く。)若しくは同法第41条の規定により指定された保安施設地区又は 地すべり等防止法 1958年法律第30号第3条第1項 《主務大臣は、この法律の目的を達成するため…》 必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、地すべり区域地すべりしている区域又は地すべりするおそれのきわめて大きい区域をいう。以下同じ。及びこれに隣接する地域のうち地すべり区域の地すべり の規定により指定された地すべり防止区域若しくは同法第4条第1項の規定により指定されたぼた山崩壊防止区域については、適用しない。

3項 都道府県は、 漁港及び漁場の整備等に関する法律 1950年法律第137号第2条 《漁港の意義 この法律で「漁港」とは、天…》 又は人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並びに施設の総合体であつて、第6条第1項から第4項までの規定により指定されたものをいう。 に規定する漁港の区域(水域を除く。)内、 港湾法 1950年法律第218号第37条第1項 《港湾区域内において又は港湾区域に隣接する…》 地域であつて港湾管理者が指定する区域以下「港湾隣接地域」という。内において、次の各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、港湾管理者の許可を受けなければならない。 ただし、公有水面埋立法1921 に規定する港湾隣接地域内又は 海岸法 1956年法律第101号第3条第1項 《都道府県知事は、海水又は地盤の変動による…》 被害から海岸を防護するため海岸保全施設の設置その他第2章に規定する管理を行う必要があると認めるときは、防護すべき海岸に係る一定の区域を海岸保全区域として指定することができる。 ただし、河川法1964年 に規定する海岸保全区域内において第1項の規定による 急傾斜地 崩壊防止工事(以下「 都道府県営工事 」という。)を施行しようとするときは、あらかじめ、漁港管理者、港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない。ただし、 港湾法 第37条第1項 《港湾区域内において又は港湾区域に隣接する…》 地域であつて港湾管理者が指定する区域以下「港湾隣接地域」という。内において、次の各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、港湾管理者の許可を受けなければならない。 ただし、公有水面埋立法1921 及び第3項又は 海岸法 第10条第2項 《2 国又は地方公共団体港湾法に規定する港…》 務局を含む。以下同じ。が第7条第1項の規定による占用又は第8条第1項の規定による行為をしようとするときは、あらかじめ海岸管理者に協議することをもつて足りる。 の規定により港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない場合においては、この限りでない。

13条 (都道府県以外の者の施行する工事)

1項 又は地方公共団体以外の者が 急傾斜地 崩壊防止工事を施行しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2項 又は地方公共団体は、 急傾斜地 崩壊防止工事を施行しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。

14条 (急傾斜地崩壊防止工事の施行の基準)

1項 急傾斜地 崩壊防止工事は、急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊の原因、機構及び規模に応じて、有効かつ適切なものとしなければならない。

2項 急傾斜地 崩壊防止工事は、政令で定める技術的基準に従い、施行しなければならない。

15条 (適用の除外)

1項 前2条の規定は、 急傾斜地 崩壊防止工事が 砂防法 による砂防工事、 森林法 による保安施設事業に係る工事又は 地すべり等防止法 による地すべり防止工事若しくはぼた山崩壊防止工事である場合における当該急傾斜地崩壊防止工事については、適用しない。

16条 (附帯工事の施行)

1項 都道府県は、 都道府県営工事 により必要を生じた 急傾斜地 崩壊防止工事以外の工事(以下「 他の工事 」という。又は都道府県営工事を施行するために必要を生じた 他の工事 を当該都道府県営工事とあわせて施行することができる。

2項 前項の場合において、 他の工事 が河川工事( 河川法 1964年法律第167号)が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。又は道路( 道路法 1952年法律第180号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事であるときは、当該他の工事の施行については、同項の規定は、適用しない。

17条 (土地の立入り等)

1項 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、 都道府県営工事 のためにやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として1時使用することができる。

2項 第5条第2項 《2 前項の規定により他人の占有する土地に…》 立ち入ろうとする者は、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に通知しなければならない。 ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。 から第10項までの規定は、前項の場合について準用する。

18条 (急傾斜地崩壊防止工事に伴う損失の補償)

1項 土地収用法 第93条第1項 《土地を収用し、又は使用第122条第1項又…》 は第123条第1項の規定によつて使用する場合を含む。して、その土地を事業の用に供することにより、当該土地及び残地以外の土地について、通路、溝、垣、さくその他の工作物を新築し、改築し、増築し、若しくは修 の規定による場合を除き、 都道府県営工事 を施行したことにより、当該都道府県営工事を施行した土地に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその他の施設若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、都道府県は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「 損失を受けた者 」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、都道府県又は 損失を受けた者 は、補償金の全部又は一部に代えて、都道府県が当該工事を施行することを要求することができる。

2項 前項の規定による損失の補償は、 都道府県営工事 の完了の日から1年を経過した後においては、請求することができない。

3項 第1項の規定による損失の補償については、都道府県と 損失を受けた者 とが協議しなければならない。

4項 前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県又は 損失を受けた者 は、政令で定めるところにより、収用委員会に 土地収用法 第94条 《前3条による損失の補償の裁決手続 前3…》 条の規定による損失の補償は、起業者と損失を受けた者前条第1項に規定する工事をすることを必要とする者を含む。以下この条において同じ。とが協議して定めなければならない。 2 前項の規定による協議が成立しな の規定による裁決を申請することができる。

19条

1項 削除

20条 (国土交通大臣の指示)

1項 国土交通大臣は、 急傾斜地 の崩壊による災害が発生し、又は発生するおそれがあると認められる場合において、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するため緊急の必要があると認められるときは、都道府県に対し、 第3条第1項 《都道府県知事は、この法律の目的を達成する…》 ために必要があると認めるときは、関係市町村長特別区の長を含む。以下同じ。の意見をきいて、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣 及び第3項、 第7条第1項 《急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各…》 号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。 ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるそ 、第2項及び第4項、 第8条第1項 《都道府県知事は、次の各号の1に該当する者…》 に対して、前条第1項の許可を取り消し、若しくは同項の許可に附した条件を変更し、又は制限行為の中止その他制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。 1 前条第 、同条第2項( 第10条第4項 《4 第8条第2項の規定は、第1項又は第2…》 項の場合について準用する。 において準用する場合を含む。)、 第9条第3項 《3 都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域…》 内における急傾斜地の崩壊による災害を防止するために必要があると認める場合においては、当該急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者、その土地内において制限行為を行つた者、当該急傾斜地の崩壊第10条第1項 《都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域内の…》 土地において制限行為当該急傾斜地崩壊危険区域の指定前に行なわれた行為又はその指定の際すでに着手している行為であつて、その行為が当該指定後に行なわれたとしたならば制限行為に該当する行為となるべきものを含 及び第2項、 第11条第1項 《都道府県知事又はその命じた者若しくは委任…》 した者は、第7条第1項、第8条第1項又は前条第1項若しくは第2項の規定による権限を行なうために必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地における急傾斜地崩壊防止工事若しくは制限 並びに 第12条第1項 《都道府県は、急傾斜地崩壊防止工事のうち、…》 制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な工事以外の工事で、当該急傾斜地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者が施行することが困難又は不適当と認め に規定する事務に関し、必要な指示をすることができる。

3章 急傾斜地崩壊危険区域に関する費用

21条 (都道府県営工事に要する費用の補助)

1項 国は、都道府県に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、 都道府県営工事 に要する費用の2分の一以内を補助することができる。

22条 (附帯工事に要する費用)

1項 都道府県営工事 により必要を生じた 他の工事 又は都道府県営工事を施行するために必要を生じた他の工事に要する費用は、 第7条第1項 《急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各…》 号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。 ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるそ の許可に附した条件に特別の定めがある場合及び同条第4項の協議による場合を除き、その必要を生じた限度において、都道府県がその全部又は一部を負担するものとする。

2項 前項の場合において、 他の工事 が河川工事又は道路に関する工事であるときは、当該他の工事に要する費用については、同項の規定は、適用しない。

23条 (受益者負担金)

1項 都道府県は、 都道府県営工事 により著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、その者に、当該都道府県営工事に要する費用の一部を負担させることができる。

2項 前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収方法については、都道府県の条例で定める。

4章 雑則

24条 (独立行政法人住宅金融支援機構等の資金の貸付けについての配慮)

1項 独立行政法人住宅金融支援機構及び沖縄振興開発金融公庫は、法令及びその事業計画の範囲内において、 第9条第3項 《3 都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域…》 内における急傾斜地の崩壊による災害を防止するために必要があると認める場合においては、当該急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者、その土地内において制限行為を行つた者、当該急傾斜地の崩壊 又は 第10条第1項 《都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域内の…》 土地において制限行為当該急傾斜地崩壊危険区域の指定前に行なわれた行為又はその指定の際すでに着手している行為であつて、その行為が当該指定後に行なわれたとしたならば制限行為に該当する行為となるべきものを含 若しくは第2項の規定による勧告又は命令に基づく 急傾斜地 崩壊防止工事の施行が円滑に行われるよう、必要な資金の貸付けについて配慮するものとする。

25条 (国有地の無償貸付け等)

1項 普通財産である国有地は、 都道府県営工事 により設置する 急傾斜地 崩壊防止施設の用に供する場合においては、 国有財産法 1948年法律第73号第22条 《無償貸付 普通財産は、次に掲げる場合に…》 おいては、地方公共団体、水害予防組合及び土地改良区以下「公共団体」という。に、無償で貸し付けることができる。 1 公共団体において、緑地、公園、ため池、用排水路、火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施 又は 第28条 《譲与 普通財産は、次に掲げる場合におい…》 ては、譲与することができる。 1 公共団体において維持及び保存の費用を負担した公共用財産の用途を廃止した場合において、当該用途の廃止によつて生じた普通財産をその負担した費用の額が当該用途の廃止時におけ の規定にかかわらず、当該都道府県に無償で貸し付け、又は譲与することができる。

26条 (報告の徴取)

1項 都道府県知事は、 急傾斜地 崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該土地において急傾斜地崩壊防止工事若しくは 制限行為 を行ない、若しくは行なつた者に対し、この法律の施行に関して必要な報告を求めることができる。

26条の2 (権限の委任)

1項 この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。

5章 罰則

27条

1項 第8条第1項 《都道府県知事は、次の各号の1に該当する者…》 に対して、前条第1項の許可を取り消し、若しくは同項の許可に附した条件を変更し、又は制限行為の中止その他制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。 1 前条第 の規定による都道府県知事の命令に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は110,000円以下の罰金に処する。

28条

1項 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の拘禁刑又は60,000円以下の罰金に処する。

1号 第5条第7項 《7 土地の占有者又は所有者は、正当な理由…》 がない限り、第1項の規定による立入り又は1時使用を拒み、又は妨げてはならない。 第17条第2項 《2 第5条第2項から第10項までの規定は…》 、前項の場合について準用する。 において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

2号 第7条第1項 《急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各…》 号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。 ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるそ の規定に違反した者

3号 第10条第1項 《都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域内の…》 土地において制限行為当該急傾斜地崩壊危険区域の指定前に行なわれた行為又はその指定の際すでに着手している行為であつて、その行為が当該指定後に行なわれたとしたならば制限行為に該当する行為となるべきものを含 又は第2項の規定による都道府県知事の命令に違反した者

4号 第11条第1項 《都道府県知事又はその命じた者若しくは委任…》 した者は、第7条第1項、第8条第1項又は前条第1項若しくは第2項の規定による権限を行なうために必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地における急傾斜地崩壊防止工事若しくは制限 の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

29条

1項 次の各号の1に該当する者は、20,000円以下の罰金に処する。

1号 第6条 《標識の設置 都道府県は、急傾斜地崩壊危…》 険区域の指定があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該急傾斜地崩壊危険区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。 の規定により設置した標識を移動し、汚損し、又は破損した者

2号 第7条第3項 《3 急傾斜地崩壊危険区域の指定の際当該急…》 傾斜地崩壊危険区域内においてすでに第1項各号に掲げる行為非常災害のために必要な応急措置として行なう行為及び同項ただし書に規定する政令で定めるその他の行為を除く。に着手している者は、その指定の日から起算 の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

3号 第26条 《報告の徴取 都道府県知事は、急傾斜地崩…》 壊危険区域内の土地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該土地において急傾斜地崩壊防止工事若しくは制限行為を行ない、若しくは行なつた者に対し、この法律の施行に関して必要な報告を求めることができる。 の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

30条

1項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

《本則》 ここまで 附則 >  

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