1章 総則
1条 (目的)
1項 この法律は、法務省の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。
2章 法務省の設置並びに任務及び所掌事務 > 1節 法務省の設置
2条 (設置)
1項 国家行政組織法 (1948年法律第120号)
第3条第2項
《2 行政組織のため置かれる国の行政機関は…》
、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。
の規定に基づいて、法務省を設置する。
2項 法務省の長は、法務大臣とする。
2節 法務省の任務及び所掌事務
3条 (任務)
1項 法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理並びに出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ることを任務とする。
2項 前項に定めるもののほか、法務省は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。
3項 法務省は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。
4条 (所掌事務)
1項 法務省は、前条第1項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
1号 民事法制に関する企画及び立案に関すること。
2号 刑事法制に関する企画及び立案に関すること。
3号 司法制度に関する企画及び立案に関すること。
4号 司法試験に関すること。
5号 内外の法令及び法務に関する資料の整備及び編さんを行うこと。
6号 法務に関する調査及び研究に関すること。
7号 検察に関すること。
8号 司法警察職員の教養訓練に関すること。
9号 犯罪人の引渡し、国際捜査共助その他の刑事に関する国際間の共助に関すること。
10号 犯罪の予防に関すること。
11号 第2号及び第7号から前号までに掲げるもののほか、刑事に関すること。
12号 刑及び勾留、少年院に送致する保護処分及び少年鑑別所に送致する観護の措置並びに監置の裁判の執行に関すること。
12_2号 国際受刑者移送に関すること。
12_3号 前2号に掲げるもののほか、矯正に関すること。
13号 恩赦に関すること。
14号 仮釈放、仮出場、仮退院、不定期刑の終了及び退院に関すること。
15号 保護観察、更生緊急保護及び刑事施設又は少年院に収容中の者の生活環境の調整に関すること。
16号 保護司に関すること。
17号 更生保護事業の助長及び監督に関すること。
18号 第10号、第12号の二及び第14号から前号までに掲げるもののほか、更生保護に関すること。
18_2号 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 (2003年法律第110号)の規定による精神保健観察その他の同法の対象者に対する地域社会における処遇並びに生活環境の調査及び調整に関すること(厚生労働省の所掌に属するものを除く。)。
19号 破壊活動防止法 (1952年法律第240号)の規定による破壊的団体の規制に関すること。
20号 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律 (1999年法律第147号)の規定による無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関すること。
21号 国籍、戸籍、登記、供託及び公証に関すること。
22号 司法書士及び土地家屋調査士に関すること。
23号 第1号及び前2号に掲げるもののほか、民事に関すること。
24号 外国法事務弁護士に関すること。
25号 債権管理回収業の監督に関すること。
25_2号 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 (2004年法律第151号)の規定による民間紛争解決手続の業務の認証に関すること。
26号 人権侵犯事件に係る調査並びに被害の救済及び予防に関すること。
27号 人権啓発及び民間における人権擁護運動の助長に関すること。
28号 人権擁護委員に関すること。
29号 人権相談に関すること。
30号 総合法律支援に関すること。
31号 国の利害に関係のある争訟に関すること。
32号 日本人の出国及び帰国並びに外国人の入国及び出国の管理に関すること。
33号 本邦における外国人の在留に関すること。
34号 難民の認定及び補完的保護対象者の認定に関すること。
35号 国際連合と日本国との間に締結される、犯罪の防止及び犯罪者の処遇並びに少年非行の防止及び非行少年の処遇の分野に関し、研修、研究及び調査を行うことを目的とする研修所を日本国に設置することに関する条約に基づき、国際連合に協力して行う研修、研究及び調査に関すること。
36号 所掌事務に係る国際協力に関すること。
37号 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。
38号 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律 (2003年法律第40号)の規定による検察官の派遣に伴う法科大学院の教育に対する法曹としての実務に係る協力に関すること。
39号 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき法務省に属させられた事務
2項 前項に定めるもののほか、法務省は、前条第2項の任務を達成するため、同条第1項の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統1を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務をつかさどる。
3章 本省に置かれる機関 > 1節 審議会等
5条 (設置)
1項 別に法律で定めるところにより法務省に置かれる審議会等で本省に置かれるものは、次のとおりとする。
5条の2 (司法試験委員会)
1項 司法試験委員会については、 司法試験法 (1949年法律第140号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
6条 (検察官適格審査会)
1項 検察官適格審査会については、 検察庁法 (1947年法律第61号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
7条 (中央更生保護審査会)
1項 中央更生保護審査会については、 更生保護法 (2007年法律第88号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
7条の2 (日本司法支援センター評価委員会)
1項 日本司法支援センター評価委員会については、 総合法律支援法 (2004年法律第74号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
2節 施設等機関
8条 (設置)
1項 本省に、次の施設等機関を置く。
2項 前項の刑務所、少年刑務所及び拘置所は、 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 (2005年法律第50号)の規定による刑事施設として置かれるものとする。
9条 (刑務所、少年刑務所及び拘置所)
1項 刑務所、少年刑務所及び拘置所は、次に掲げる事務をつかさどる。
1号 拘禁刑又は拘留の刑の執行のため拘置される者、 刑事訴訟法 (1948年法律第131号)の規定により勾留される者及び死刑の言渡しを受けて拘置される者を収容し、これらの者に対し必要な処遇を行うこと。
2号 前号に規定する者のほか、法令の規定により刑事施設その他これに附置する施設に収容すべきこととされる者及び収容することができることとされる者を収容すること。
2項 法務大臣は、刑務所、少年刑務所又は拘置所の所掌事務を分掌させるため、所要の地に、刑務所、少年刑務所又は拘置所の支所を設けることができる。
3項 刑務所、少年刑務所及び拘置所並びにそれらの支所の名称、位置及び内部組織は、法務省令で定める。
10条 (少年院)
1項 少年院は、次に掲げる事務をつかさどる。
1号 少年法 (1948年法律第168号)
第24条第1項第3号
《家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を…》
開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。 ただし、決定の時に14歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第3号の保護処分をすることができる。
並びに
第64条第1項第2号
《第24条第1項の規定にかかわらず、家庭裁…》
判所は、第23条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、少年が特定少年である場合には、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において、決定をもつて、次の各号に掲げる保護処分のいずれかをしなけ
(同法第66条第1項の規定による決定を受けた場合に限る。)及び第3号の保護処分の執行を受ける者、同法第56条第3項の規定により少年院において拘禁刑の執行を受ける者その他法令の規定により少年院に収容すべきこととされる者を収容し、これらの者に対し矯正教育その他の必要な処遇を行うこと。
2号 前号に規定する者のほか、法令の規定により少年院に収容することができることとされる者を収容すること。
2項 法務大臣は、少年院の所掌事務を分掌させるため、所要の地に、少年院の分院を設けることができる。
3項 少年院及びその分院の名称、位置及び内部組織は、法務省令で定める。
11条 (少年鑑別所)
1項 少年鑑別所は、次に掲げる事務をつかさどる。
1号 少年鑑別所法 (2014年法律第59号)
第17条第1項
《少年鑑別所の長は、家庭裁判所、地方更生保…》
護委員会、保護観察所の長、児童自立支援施設の長、児童養護施設の長、少年院の長又は刑事施設の長から、次に掲げる者について鑑別を求められたときは、これを行うものとする。 1 保護処分少年法第66条第1項、
又は
第18条第1項
《少年鑑別所の長は、その職員が家庭裁判所か…》
ら少年法第24条第1項第3号の保護処分に係る同項の決定、同法第64条第1項第3号の保護処分に係る同項の決定、同法第66条第1項の決定若しくは更生保護法第72条第1項の決定の執行の指揮を受けたとき、又は
の規定による鑑別の対象となる者の鑑別を行うこと。
2号 少年法
第17条第1項第2号
《家庭裁判所は、審判を行うため必要があると…》
きは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。 1 家庭裁判所調査官の観護に付すること。 2 少年鑑別所に送致すること。
の観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者その他法令の規定により少年鑑別所に収容すべきこととされる者及び収容することができることとされる者を収容し、これらの者に対し必要な観護処遇を行うこと。
3号 少年鑑別所法 の定めるところにより、非行及び犯罪の防止に関する援助を行うこと。
2項 法務大臣は、少年鑑別所の所掌事務を分掌させるため、所要の地に、少年鑑別所の分所を設けることができる。
3項 少年鑑別所及びその分所の名称、位置及び内部組織は、法務省令で定める。
12条及び13条
1項 削除
3節 特別の機関
14条 (検察庁)
1項 別に法律で定めるところにより法務省に置かれる特別の機関で本省に置かれるものは、検察庁とする。
4節 地方支分部局
15条 (設置)
1項 本省に、次の地方支分部局を置く。
16条 (矯正管区)
1項 矯正管区は、法務省の所掌事務のうち、刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院及び少年鑑別所の運営の管理に関する事務を分掌する。
2項 矯正管区の名称、位置、管轄区域及び内部組織は、政令で定める。
17条 (地方更生保護委員会)
1項 地方更生保護委員会は、 更生保護法
第16条
《所掌事務 地方更生保護委員会以下「地方…》
委員会」という。は、次に掲げる事務をつかさどる。 1 刑法1907年法律第45号第28条の行政官庁として、仮釈放を許し、又はその処分を取り消すこと。 2 刑法第30条の行政官庁として、仮出場を許すこと
各号に掲げる事務をつかさどる。
2項 地方更生保護委員会の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。
3項 前項に定めるもののほか、地方更生保護委員会については、 更生保護法 (これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
18条 (法務局及び地方法務局)
1項 法務局及び地方法務局は、法務省の所掌事務のうち、
第4条第1項第21号
《法務省は、前条第1項の任務を達成するため…》
、次に掲げる事務をつかさどる。 1 民事法制に関する企画及び立案に関すること。 2 刑事法制に関する企画及び立案に関すること。 3 司法制度に関する企画及び立案に関すること。 4 司法試験に関すること
から第23号まで及び第26号から第31号までに掲げる事務並びに法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき法務省に属させられた事務を分掌する。
2項 法務局の名称、位置、管轄区域及び内部組織は、政令で定める。
3項 地方法務局の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。
4項 地方法務局の内部組織は、法務省令で定める。
5項 法務大臣は、政令で定めるところにより、法務局の長に、地方法務局の事務を指揮監督させることができる。
19条 (法務局又は地方法務局の支局)
1項 法務大臣は、法務局又は地方法務局の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、法務局又は地方法務局の支局を置くことができる。
2項 法務局又は地方法務局の支局の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、法務省令で定める。
20条 (法務局若しくは地方法務局又はその支局の出張所)
1項 法務大臣は、法務局若しくは地方法務局又はその支局の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、法務局若しくは地方法務局又はその支局の出張所を置くことができる。
2項 法務局若しくは地方法務局又はその支局の出張所の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、法務省令で定める。
21条から23条まで
1項 削除
24条 (保護観察所)
1項 保護観察所は、 更生保護法
第29条
《所掌事務 保護観察所は、次に掲げる事務…》
をつかさどる。 1 保護観察を実施すること。 2 犯罪の予防を図るため、世論を啓発し、社会環境の改善に努め、及び地域住民の活動を促進すること。 3 前2号に掲げるもののほか、この法律その他の法令により
各号及び 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
第19条
《事務 保護観察所は、次に掲げる事務をつ…》
かさどる。 1 第38条第53条、第58条及び第63条において準用する場合を含む。に規定する生活環境の調査に関すること。 2 第101条に規定する生活環境の調整に関すること。 3 第106条に規定する
各号に掲げる事務をつかさどる。
2項 保護観察所の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。
3項 保護観察所の内部組織は、法務省令で定める。
25条 (保護観察所の支部)
1項 法務大臣は、保護観察所の所掌事務を分掌させるため、所要の地に、保護観察所の支部を置くことができる。
2項 保護観察所の支部の名称、位置、管轄区域及び内部組織は、法務省令で定める。
4章 外局 > 1節 設置
26条
1項 国家行政組織法
第3条第2項
《2 行政組織のため置かれる国の行政機関は…》
、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。
の規定に基づいて、法務省に、出入国在留管理庁を置く。
2項 前項に定めるもののほか、 国家行政組織法
第3条第2項
《2 行政組織のため置かれる国の行政機関は…》
、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。
の規定に基づいて法務省に置かれる外局は、次のとおりとする。
2節 出入国在留管理庁 > 1款 任務及び所掌事務
27条 (長官)
1項 出入国在留管理庁の長は、出入国在留管理庁長官とする。
28条 (任務)
1項 出入国在留管理庁は、出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ることを任務とする。
2項 前項に定めるもののほか、出入国在留管理庁は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。
3項 出入国在留管理庁は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。
29条 (所掌事務)
1項 出入国在留管理庁は、前条第1項の任務を達成するため、
第4条第1項第32号
《法務省は、前条第1項の任務を達成するため…》
、次に掲げる事務をつかさどる。 1 民事法制に関する企画及び立案に関すること。 2 刑事法制に関する企画及び立案に関すること。 3 司法制度に関する企画及び立案に関すること。 4 司法試験に関すること
から第34号まで、第36号、第37号及び第39号に掲げる事務をつかさどる。
2項 前項に定めるもののほか、出入国在留管理庁は、前条第2項の任務を達成するため、
第4条第2項
《2 前項に定めるもののほか、法務省は、前…》
条第2項の任務を達成するため、同条第1項の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統1を図るために必要となる企画及
に規定する事務をつかさどる。
2款 施設等機関
30条 (入国者収容所)
1項 出入国在留管理庁に、入国者収容所を置く。
2項 入国者収容所は、本邦からの退去を強制される者を収容し、及び送還する事務をつかさどる。
3項 入国者収容所の名称、位置及び内部組織は、法務省令で定める。
3款 地方支分部局
31条 (地方出入国在留管理局)
1項 出入国在留管理庁に、地方支分部局として、地方出入国在留管理局を置く。
2項 地方出入国在留管理局は、出入国在留管理庁の所掌事務のうち、
第4条第1項第32号
《法務省は、前条第1項の任務を達成するため…》
、次に掲げる事務をつかさどる。 1 民事法制に関する企画及び立案に関すること。 2 刑事法制に関する企画及び立案に関すること。 3 司法制度に関する企画及び立案に関すること。 4 司法試験に関すること
から第34号まで、第37号及び第39号に掲げる事務を分掌する。
3項 地方出入国在留管理局の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。
4項 地方出入国在留管理局に、政令で定めるところにより、次長を置くことができる。
5項 前項に定めるもののほか、地方出入国在留管理局の内部組織は、法務省令で定める。
32条 (地方出入国在留管理局の支局)
1項 法務大臣は、地方出入国在留管理局の所掌事務を分掌させるため、所要の地に、地方出入国在留管理局の支局を置くことができる。
2項 地方出入国在留管理局の支局の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。
3項 地方出入国在留管理局の支局の内部組織は、法務省令で定める。
33条 (地方出入国在留管理局又はその支局の出張所)
1項 法務大臣は、地方出入国在留管理局又はその支局の所掌事務を分掌させるため、所要の地に、地方出入国在留管理局又はその支局の出張所を置くことができる。
2項 地方出入国在留管理局又はその支局の出張所の名称、位置、管轄区域及び内部組織は、法務省令で定める。
3節 公安審査委員会
34条
1項 公安審査委員会については、 公安審査委員会設置法 (1952年法律第242号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
4節 公安調査庁
35条
1項 公安調査庁については、 公安調査庁設置法 (1952年法律第241号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。